2022.09.21
# 企業・経営

アイリスオーヤマが「日本の工場」へ回帰…企業の「国内回帰」で、日本経済に起きること

生活用品メーカーのアイリスオーヤマが、中国から日本国内に生産拠点を回帰させる。このところ進んだ円安によって日本の生産コストは大幅に低下しており、もう一段、円安が進めば日本と中国の製造コストは完全に逆転する。日本のものづくりのあり方について、再検討する必要があるだろう。

 

日中の生産コストが逆転しつつある

アイリスオーヤマは、これまで中国・大蓮の工場で日本向けプラスチック製品などを生産していた。しかし、中国での生産コストが上昇したことから、約50種類の製品について国内工場に移管することを決定した。中国産から国内産に切り替えることで約2割のコスト削減が見込めるとされ、今後は他の製品についても国内シフトを検討するという。

アイリスオーヤマの公式サイトより引用

アイリスオーヤマは優良企業であり、良質な商品を低価格で販売してきた。こうした企業にとって、もっともコストの安い地域で生産を行うことは、企業戦略上、当然のオペレーションであり、これまでは中国が最も低コストな地域の一つだった。ところが最近、中国の人件費が著しく高騰しており、必ずしも安い生産地域ではなくなっている。一方、日本は、人件費が横ばいで推移しており、加えて急ピッチで円安が進んでいることから、日本の生産コストは劇的に安くなりつつある。

企業がどの地域で生産を行うのが有利なのかを示す指標の一つに、単位労働コスト(ユニット・レーバー・コスト:ULC)というものがある。ドルベースで見た場合の単位労働コストは、これまで中国の方が圧倒的に安かったが、中国の人件費高騰により、日本と中国の単位労働コストはほぼ拮抗した状態にある。

筆者の試算によると、1ドルが150円を超えてくると、日本と中国の単位労働コストは完全に逆転する。そうなってくると、企業にとっては、中国に移管した生産拠点を国内に戻すという選択肢が現実味を帯びてくる。アイリスオーヤマの国内生産回帰も、そうした流れのひとつと考えてよいだろう。

関連記事