ブラックホールに吸い込まれると、どこに行くか? 宇宙の涯ての謎!
宇宙好きは高次元や多様体が空想できるブラック・ホールにはなんでも吸い込まれてしまって、いったん吸い込まれると出てこられない、といわれます。しかし、吸い込まれてしまったものは、どこに行くのでしょう?
もうひとつ、これも考えて下さい。
地球から出発して宇宙をまっすぐ進んでいくとどこに行くでしょうか? 無限の遠くまで行くのでしょうか? 宇宙は無限に大きいのでしょうか?
宇宙の大きさは有限でしょうか? 有限だとしたら“はしっこ”はどうなっているでしょうか?
これらの問いを考えると「多様体」や「高次元空間」という数学が登場します。そこで、この宇宙のかたちの謎を『高次元を見る方法』『多様体とは何か』の著者・小笠英志さんが解説します。
1. ブラックホール、ホワイトホール、ワームホール
皆様は、「ブラックホール」という言葉を聞いたことがあると思います。非常に重力の強い天体で、まわりのものをすべてのみ込んでしまいます。光さえも、のみ込まれまてしまいます。さらに、のみ込まれたものは、ブラックホールから出てこられないともいわれています。
ブラックホールに吸い込まれたものはどこに行ってしまうのでしょうか? 完全に消失してしまうのでしょうか?
かなり大胆な説ですが、こういう説があります。
「ホワイトホール」という天体があって、ブラックホールに吸い込まれた物体はすべてホワイトホールから出てくる、というのです。
では、このブラックホールとホワイトホールのあいだは、どうなっているのでしょう?
これは、「ワームホール」というものでつながっていると考えられています。
ブラックホールは宇宙観測から実在は間違いないものですが、ホワイトホールやワームホールは、いまだ見つかっていません。そのため想像の段階です。
しかし、ここからはホワイトホールもワームホールも存在すると思って、SF談義で行きましょう。
ワームホールは「wormhole」といいます。 wormは「いも虫」、holeは「穴」で、wormholeは「虫食い穴」です。

図1のようなりんごなどの虫食い穴を想像して下さい。ワームホールは、こんな感じでブラックホールとホワイトホールをつないでいます。