4. 宇宙の形と多様体
(無限に大きい)平面は、「たて・よこ」2個の移動の「自由度」があります。平面を2次元空間ともいいます。中学や高校の数学や物理で空間といっていた(無限に大きい)“空間”は「たて・よこ・たかさ」の3個の移動の自由度があります。この空間を3次元空間ともいいます。
図2は、どの図形も部分的に小さいところを見れば「たて・よこ」の2個の軸が取れて2個の自由度があります(図3の左を参照)。こういう図形を2次元多様体といいます。注:2次元空間は2次元多様体の一例です。
宇宙空間は「たて・よこ・たかさ」の軸のとれる図4のような無茶苦茶大きい空間です(とりあえず、ここでは、そういうことにして話を進めましょう)。

さあ、(3次元である)宇宙空間で、ブラックホールとホワイトホールとワームホールができるとどういう図形になるか考えてください。さきほどの2節、3節で、次元を下げて類推したのを思いだしてください。
宇宙空間からブラックホールとホワイトホールとワームホールの誕生によってで上がった図形は、 3次元空間には埋め込めません。しかし、部分的に見ればどの場所にも小さく「たて、よこ、たかさ」の軸が取れます。
さきほどの次元の低い絵から類推してなんとなく幻視できてきたでしょうか? 人間、頑張れば4次元でも5次元でも高次元でも空想できますので頑張ってください。あるいは、無理にでも頑張ったあとに、ぼぉーっ、としていると幻想できたりします。
大雑把にいえば、部分的に見ればどの場所にも小さく「たて、よこ、たかさ」の軸が取れる図形を「3次元多様体」といいます。注:3次元空間は3次元多様体の一例です。
上の話はこういうことです。3次元空間である宇宙にブラックホールとホワイトホールとワームホールが誕生したら、3次元空間とは別の3次元多様体となりまた。しかも、その3次元多様体は、3次元空間に埋め込めないものです。そういう3次元多様体の例になっているのです。
それでは、3次元多様体にはどんなものがあるのでしょうか?
実は、無限個あります。3次元多様体にはまだまだ、わからないことがたくさんあります。
これについては、本稿の前の記事4本「『4次元』の感動的な世界」、「宇宙は『どんな形』をしているのか?」、「『多様体』とはどんなもの?」、「『ポアンカレ予想』はまだ解けていない!?」に書きましたので、こちらをご覧ください。また、詳しくは拙著『高次元を見る方法』、『多様体とは何か』の「PART1,PART2」を御覧ください。
このように宇宙の好きな人は、高次元空間や多様体が見えるようになります。