年間2887人もの女性の命を奪う病

「子宮頸がん」と聞いて、あなたはどんなイメージを持つだろうか?
「がん」の一種であることは理解できても、どんな疾患で女性の体にどんな負担をかけ、どんな治療やリスク、哀しみがあるのか……。それを「自分にも起こりうる可能性があること」として感じるのはとても難しい。

2020年のデータによると年間2,887人もの方が子宮頸がんで亡くなり(2020年)、子宮頸がんと診断されたの10,978例(2018年)(※1)。1日にすると8人近く、約3時間に1人の命が、子宮頸がんによって失われていることになる。

しかし、SNSなどには、「もっと命を落とす病はある。それなのにワクチンワクチンと騒ぎすぎる」「子宮頸がん検診さえしていればワクチン接種は必要ないのでは」といった声もいまだに根強い。

確かに、子宮頸がんよりも罹患率が高いがんは他にもあるが、子宮頸がんは、20~30代の女性も多く発症する。ちょうど、妊娠、出産などと重なり、発見、治療が遅れてしまうケースもあり、子宮頸がんは別名「マザーキラー」と呼ばれている。また、治療はできても、不妊の可能性や子宮全摘といった決断を迫られることも。女性にとって身体だけでなく、ライフプラン自体が大きく変化する可能性もある病なのだ。

また、子宮頸がんは数少ない「予防が可能ながん」であることだ。子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を「HPVワクチン」で防ぎ、それと合わせて20歳以上の女性を対象に各自治体で行われている「子宮頸がん検診」でチェックしていくことが推奨されている。

2022年4月から、HPVワクチン定期接種の積極的勧奨が再開されて、少しずつ接種数は増えているけれど、まだまだその数は少なく、日本は世界の水準からは大きく遅れている。ワクチン接種できる対象年齢は、小学校6年から高校1年相当の学年の女子。それ以外には積極的勧奨がストップしていた間、ワクチン接種できなかった平成9~17年度生まれ:誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日の女性も無料で打つことができる

※1:国立がんセンター「がん情報サービス」がん種別統計情報 子宮頚部
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html

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制作スタッフたちが作品に込めた想い

しかし、SNSなどにもこんな声はまだまだ多い。

「自分の娘が対象年齢だったことすら知らなかった」
「子宮頸がんのワクチンって無料で接種できるの? 有料だと思っていた」
「最近、CMでやっていてそんなのあるんだって初めて思った」

だからこそ、読んでほしい漫画がある。漫画家・鈴ノ木ユウさん原作の周産期医療をリアルな現場を描いたドラマにもなった『コウノドリ』だ。FRaUでは2020年秋から、国際HPV啓発デーや子宮の日などに合わせて、『コウノドリ』の「子宮頸がん」のエピソード(13巻40話・14巻41話、全218ページ!)を漫画家の鈴ノ木ユウさんのご厚意で、1週間期間限定として、無料試し読みを行ってきている。

このエピソードで描かれるのは、初めての妊娠で子宮頸がんが発覚してしまう女性の物語だ。この『コウノドリ』の「子宮頸がん」エピソードが初めて世に出たのは、2016年。当時は積極的接種が止まっている時期で、メディアもHVPワクチンについてほとんど情報配信しない状況が続いていた。

日本では2013年4月に定期接種がスタートした2カ月後に、接種後にさまざまな症状が現れた報告などがあり、接種差し止め通知が各自治体に出されて、そこからHPVワクチンの空白期が出来てしまっていた。そんな時期に、子宮頸がんのエピソードでHPVワクチンに関してもしっかりと触れている。これは、原作者の鈴ノ木ユウさんや勇気ある決断の背景には、鈴ノ木さんや取材協力に参加した医師たちの想いがあったからに違いない。

(C)鈴ノ木ユウ/講談社『コウノドリ』13巻より

今、積極的接種が再開し、少しずつだが接種する人、HPVワクチンに関心を持つ人も増えている。また、接種対象を女のコだけでなく、男のコにも広げようという動きも出てきている。鈴ノ木さんはそんな現状も含めて、こんな思いでいるという。

「これはコウノドリで子宮頸がん編を描いた当時に私自身が感じた素朴な疑問のひとつでした。ですが今、世の中の流れは少しずつHPVワクチン接種勧奨へと向かっている印象があります。

個人的にそれは素晴らしいことだと思っています。多くの方にHPVワクチンの正しい情報が伝わり、理解され、接種する機会が増えますし、将来的には男子への接種にもつながる。

ただ同時に、HPVワクチンが積極的勧奨となった時、ワクチン接種を選択しない人が尊重されず、叩かれるような社会、世の中にはなって欲しくはありません。

正しい情報が伝わる中、ワクチン接種を選択する人、しない人がこの先もいるかと思います。その時、お互いがお互いの思いや気持ちを理解し、いたわりのある考えや距離で近い将来、子宮頸がんで苦しむ女性がいなくなる日本へと向かってくれたらと切に願っています」

そして、今回も鈴ノ木ユウさんのご厚意で、1週間期間限定で、「子宮頸がん」のエピソードを再び無料試し読みできることになった。

『コウノドリ』はどのエピソードも気づかぬことに気づかせてくれてくれる物語ばかりだが、このエピソードはその中でもとっておきの名作だ。女性だけでなく、妻の病気に立ち会う夫の気持ちなども丁寧に描かれている。きっとあなたにさまざまな気づきを与えてくれるはずだ。