統一教会の「反日」度を加速させたのは「リベラル」だった……その歪んだ構図

伊藤 博敏 プロフィール

保守化する自民党に身を沿わせて

一方、日本で東西冷戦構造の一翼を担ったのは自民党であり、岸信介元首相だった。ティム・ワイナーが『CIA秘録』(1988年にピュリツァー賞受賞)でCIAから援助を受けていたと指摘した岸氏は、「反共」で統一教会と手を握り、国際勝共連合の日本での創設(68年4月)に手を貸した。

だが、マルクス主義をサタン思想と呼んで徹底的に排除した文教祖は、日本留学で民族差別を受け、若い頃の布教活動で弾圧を受けただけに、国家権力への怯えがあり「反共」は、79年まで16年間、国家を率いた朴大統領への忠節であり保身でもあった。

そのためソ連崩壊によって冷戦の緊張感が薄まると、「反共」以外の主軸も必要となり「平和」と「家庭」にシフトしていく。教団名を統一教会から世界統一平和家庭連合と変えるのは、「悪しきイメージからの脱却」ではあったが、新機軸を必要としたという教団の都合もあった。

文鮮明氏 Photo by GettyImages

文教祖は91年、北朝鮮を電撃訪問して金日成主席と会談、巨額献金も行ってビジネスの拠点を築く。北朝鮮への凱旋帰国でもあり名誉欲は満たしたものの、信者にとってみれば「サタンへの身売り」である。「お父さま(文鮮明)はどうなってしまったのか!」と、戸惑いの声が拡がったという。

教祖であり絶対者なのだから融通無碍。それは12年3月、文教祖が92歳で亡くなり後継者争いの後、韓鶴子夫人が教祖となっても同じである。日本は収奪する国であり、資金は韓国に送られて総工費300億円の白亜の宮殿「天正宮」になったり、米国に送られて統一教会企業群の資金となる。

反共を共通の目標に、国際勝共連合から秘書などを送られ選挙支援を受けてきた自民党は、安倍晋三長期政権のもとで保守政党としての色合いを濃くする。反共が薄まって乖離するかと思われた両者の関係は、改憲を柱にジェンダー平等に異を唱え、選択的夫婦別姓や同性婚に反対し、青少年の健全なる育成などの家庭観で結びつき親しさを維持した。

 

統一教会は、国際勝共連合の他、世界平和女性連合、世界平和連合、天宙平和連合、平和大使協議会など「同一ではない」と統一教会が主張する友好団体で政界と結びついているが、いずれも保守化する自民党に身を沿わせた印象で、それもまた保身だろう。かつては文教祖の、今は韓教祖の保身である。

もともと多神教国家の日本で、公明党という創価学会系政党を受け入れている日本の政治家には宗教アレルギーはなく、「カネと票」に結びつくのなら支援は拒まない。

まして統一教会員は無報酬で必死に働く有り難い存在だ。安倍元首相を始めとする党要人にも受け入れられている。保守的な憲法観、家庭観も同一で、メディアによる統一教会バッシングが治まって30年近く経過しており、交流を阻むものはなかった。

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