能力のある貧しい子を最高峰の大学へ

子どもには、自分で考える子どもになってほしい、探求する楽しさを知ってほしい。
そして、できるようになった喜びを感じてほしい。満足感を味わって、もっと知りたい、問いについてもっと誰かと話したいと感じてほしい。

でもどうやったらそうできるんだろう――?

映画『スーパー30 アーナンド先生の教室』は、貧困に夢を奪われながらも教育の力を信じ、世界を変えようと奮闘する男、アーナンド・クマールの情熱と30人の生徒の奇跡の実話を元に描くヒューマンドラマだ(9月23日公開)。

『スーパー30 アーナンド先生の教室』より
 

旧来の身分制度がいまも根強く残り、『王の子どもだけが王になれる』と言われるインドで、数学の天才アーナンドが立ち上げた私塾、「スーパー30(サーティ)」。それは、全国の貧しい家庭から優秀な頭脳を持つ30人を選抜して、無償で食事と寮と教育を与えるという異例の塾だった。

この独自の教育プログラムは開始した年から、インド最高峰で、入試が「世界三大難関試験の一つ」(Forbs誌インド版)とも言われる理系大学「IIT(インド工科大学)」に塾生を送り込んだ。その後も毎年20人前後が合格し、2008年から3年にわたり30人全員を合格させるという快挙を成し遂げている。

アーナンドさんの功績は、インド政府や州から多くの教育賞を受賞。米国タイム誌やニューズウィーク誌でも紹介され、2007年にはNHKスペシャル「インドの衝撃:わき上がる頭脳パワー」でも取り上げられるなど、多くのマスコミの絶賛を集めた。

本作の日本語字幕を担当したのは、インド哲学研究者で、武蔵野大学通信教育部人間科学部教授の佐藤裕之さん。アーナンドさん本人とも、メールや電話で親交を深めながら和訳を進めていったという。そんな佐藤さんに「スーパー30」の印象的な場面とともに、本作が伝えようとしたメッセージや字幕に込めた思いを聞いた。