家事の担い手にのしかかる呪い

日々の家事が「大変」と感じる担い手たちには、もしかすると「呪い」がかかっているのではないだろうか。それは例えば、

「料理は毎日手作りで、手の込んだものを作るべきだ」
「日々の献立は日替わりで、一汁三菜にするなど品数を多く出すべきだ」
「総菜や加工食品に頼るのは、よくないことだ」
「家事は外注せず、自分で行わなければならない」
「家の中は常に整っていなければならない」
「家族にはいつも笑顔で、優しく接しなければならない」
「自分の能力を引き出すよう、子どもを適切に導かなければならない」

といった、“正しさ”を押し付けるものである。

Photo by iStock
 

私は2018年から数年間、スープ作家の有賀薫さん、料理教室主宰の伊藤尚子さんと、家事の常識を現代的にアップデートしようと「新しいカテイカ研究会」を結成し、イベントやnoteでの発信などを通して活動を続けてきた。その際、さまざまな人たちの家事の悩みに接し、「家事をラクにしよう」と訴える前に、家事の担い手たちの心を縛る強固な呪いを解く必要があると気づかされた。

しかもたいていの人が、実は理想にほど遠い実情に、罪悪感を抱いている。家事を独りで抱え込んでいる人も多い。少なくとも料理に関して私は、食の本を出し始めた2009年から、「日々の料理は簡単でいい」「品数は必ずしも多くなくていい」「日替わり献立である必要はない」と主張し続けているが、毎度「それでいいんですね!」と大喜びする反応が、台所の担い手から返ってくる。誰かに「ラクをしていい」と言ってもらうことで、罪悪感が軽減される人はたくさんいるのである。