違法献金は「過去の話」なのか
斎藤 全国弁連によると、昨年までの5年間に500件以上の被害相談がある。
花田 それはあくまでも「相談」件数だよ。相談には、かなり昔の献金の件も入っているし、18年の消費者契約法改正で霊感商法によって結ばれた契約が取り消せるようになったこともあって、実際に不当な契約であったか否かにかかわらず、ひとまず相談する人も増えたでしょう。サラ金の過払い金を巡って、返ってくるかもしれないなら、と相談する人が一時期多くなったのと同じです。
ではその後どうなったのか。そのうち、教団側が非を認めて返金に応じたケースはどのくらいあるのか。裁判で不法行為が認められたのは何件あるのか。斎藤さんはそこまでちゃんと調べてるの?「ほら、近年の献金に限っても、まだこんなに被害が認められてるじゃないか」と数字で示してくれたら、僕だって認識を改めるのにやぶさかでない。
斎藤 近年はほとんど報道されていなかったから、花田さんが求めているような精査されたデータはまだそろっていないのかもしれない。また、鳥取県米子市の伊木隆司市長が言い始めたように、過去に悪質商法のトラブルがあっても、いまはもう国政や警察から何らの措置もとられていない以上、その団体を差別するわけにはいかないという見方もあり得るでしょう。でも教団を継続的にウォッチしてきて、最も事情を承知している全国弁連の弁護士たちが、被害はなくなっていない、彼らの活動は以前とほとんど変わっていないと強調しているのだから、いまはまずその声をしっかり聴くべきではないか。
メディアの取材もかなり進んで、高額献金をした信者が後に返還を求めてトラブルになると、一部返金するとともに合意書を作って訴訟にならないようにするなど、教団が手口を巧妙化させていることも判明してきている。田中会長は訴訟が減っていると言いますが、こういう実態があるわけです。教団にもう問題はなくなったなんて到底言えないと思います。

花田 教団側の代弁をするわけじゃないけど、合意書は、訴えられた時などに、言った言わないの問題になることが多いので作るようになったという事情がある。メディアも野党も、現在の教団について断片的な情報しか持ってないのに、あたかも教団すべてが悪であるかのように語っている。体制批判のためなら何でも過大なネタにするリベラルの習性はさもしい限りだし、メディアとしての真っ当な取材姿勢はまるで見えない。
斎藤 花田さんは、報道をめぐって朝日が中心になって「統一教会批判=安倍批判」をしてると言いますが、今回、朝日はまったく腰が引けていますよ。8月7日付の紙面で1~2面を通して特集記事を組んで、ようやく「参戦」してきたかと思いましたが、すでに他のメディアが報じたことのおさらいレベルの記事で肩透かしでした。「朝日は統一教会に弱みでもあるのか」などと言われるありさまです。
花田 そんなことはない。社説、天声人語、川柳欄と、朝日は総動員体制だよ。
斎藤 いや、リードしているのは、『週刊文春』『週刊新潮』の2大週刊誌とテレビ、従来は政権への忖度ばかりが目立っていた「ミヤネ屋」(読売テレビ)や、これまでも権力チェックを果たそうとしてきた「報道特集」「報道1930」(ともにTBS)あたりでしょうか。それと日刊ゲンダイか。