《花田紀凱×斎藤貴男 激論》安倍晋三と統一教会、それは「大袈裟」で「騒ぎすぎ」の問題なのか?

左右激突対談(後篇)
花田紀凱×斎藤貴男 プロフィール

「安倍イズムは続く?」「ひと言で言えばそうなる」

斎藤 花田さんが本心から安倍さんに心酔していたのであれば、彼はなぜ殺されたのか、なぜ殺されなければならなかったのか、その決着をつけることで仇を取りたいとは思いませんか?

花田 報道によれば、容疑者は、教団への恨みから、教団トップを狙おうとしたけれどできなかったので、関連団体へビデオメッセージを寄せていた安倍さんを代わりに狙った、と。安倍さんは、無理やり私怨の標的にされたようなものですよ。そんないわれのないことで無二の政治家が殺されてしまったという残念な思いしかない。

そもそも、容疑者の恨みというのは何なのか。母の高額献金で家庭が壊れたのはもう20年前のことですよ。怨念を20年間ずっと持っていたのか? 被害妄想を募らせていただけではないか。

花田氏 Photo by Shinya Nishizaki花田氏 Photo by Shinya Nishizaki

斎藤 被害妄想なんて言葉で表現できる話ではない。これは日本の戦後政治の闇に積み重なった不正が関わっている事態だと思います。

最後にもう一つ。安倍氏が亡くなって、『Hanada』はどこへ向かいますか?『Hanada』はいまや保守論壇のリーダーになっている。『Hanada』の方針で日本の保守の行く先が左右されそうです。

花田 それは斎藤さんの買い被りだよ。僕は、安倍さんの日本に対する考え方、思想に影響を受けてきた。だからバックボーンとしてはこれからも、それを通していく。安倍さんが亡くなったからといって急に論調が変わることはないです。

 

斎藤 安倍イズムは続くということですか。

花田 一言で言えばそうなるかな。

それと、僕は「世界日報」を忌避していない。スクープを取ってくる腕のいい記者がいる右派新聞だと認識している。実際、『Hanada』19年6月号には、同紙による「昭和天皇の直筆御製発見」のスクープの内幕を書いた記事を載せています。今月号にも、同紙特別取材班による石垣のりこ議員への批判記事「デマを拡散させる石垣のりこ立民議員の居直り」が掲載されている。ぜひ読んで、世界日報と石垣氏のどちらが正しいことを言っているか、判断してほしいね。

斎藤 あの記事は「世界日報」が「機関紙」かどうかという認識についての議論だったと思いますが、いま花田さんと交わしている統一教会の本質に関わるような論点はなかったのではないでしょうか。いまは、統一教会や安倍氏国葬をめぐって、かつてなく政治不信が高まり、国論も二分してしまっているような危機的な状況なので、花田さんとは立場を異にする者同士で、これからも本気の議論を深めていきたいと思います。

(構成・山家圭)

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