FRB議長が意識している前例
「我々は、最後までやり遂げなければならない(keep at it until job is done)」――9月20~21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は高らかに宣言した。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者であり、6月FOMCでの75bp利上げをリークしたニック・ティミラオス記者が指摘する通り、インフレファイターとして歴史に名を残すポール・ボルカー元FRB議長の回顧録“Keep At It(邦訳『ボルカー回顧録 健全な金融、良き政府を求めて』)”から引用したのだろう。パウエル氏が、第2のボルカー氏として米経済を導く決意を象徴する言葉だ。
そのパウエル氏率いるFedは、9月20~21日開催のFOMCで今回の利上げサイクルで3回連続となる75bpの利上げに踏み切り、FF金利誘導目標を3.0~3.25%に引き上げた。
FOMC参加者のFF金利予想値から成るドットチャートは2022年末に4.375%に、2023年末は4.625%へ大幅に上方修正。2024年に利下げ転換が予想されるとはいえ、2025年まで中立金利2.5%を上回り、引き締め寄りの水準が維持される見通しである。FOMC参加者が一丸となって、インフレ退治を狙い最後までやり遂げる意思を表明したと言えよう。

9月FOMCの結果を受け、FF先物市場では、2022年末のドットチャート通り、次回11月1~2日開催のFOMCで75bp、12月13~14日開催のFOMCで50bpが織り込まれる状況だ。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト・チームは、結果を受け2022年末のFF金利誘導目標レンジ最終地点を4.0~4.25%から4.5~4.75%へ引き上げた。予想に基づけば、11月1~2日開催のFOMCで75bp、12月13~14日開催のFOMCで50bp、1月31~2月1日開催のFOMCで25bpの利上げとなる。こちらもドットチャートに倣った予想値であり、FF先物市場も同じく2023年に25bpの追加利上げ見通しが大勢を占める。