フォーリンラブのバービーさんが芸人として、ひとりの女性として、日頃抱えているモヤモヤと向き合い、自らの言葉で本音を綴っているFRaUweb連載「本音の置き場所」(毎月1回更新)。今回は、「本家に行ってみたい」というバービーさんのお父さんの願いを叶えるべく、手がかりが少ないながらもルーツ探しの旅に家族で出かけた今夏のエピソードをお伝えします。

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「本家に行ってみたい」

父は酔うといつも同じ話をする。

「父さんのおじいさんはなぁ、殿様の家系で、本家がある岩手には、まだ鎧や刀が残っているそうなんだ。一度でいいから行ってみたいなぁ」

そしてこの夏、スケジュールが取れたので、私たち夫婦と姉で両親を連れて行くことにした。日程も近づいてきた頃、「そろそろ、行き先教えてね! 先方にも連絡入れておいてよ!」と LINEすると、一枚の写真だけ送られてきた。

そこには、「青森県苫米地」という番地なしの住所と「私のお祖父さんの名前は苫米地子野です」と手書きで記された一枚のメモ。しかも、住所は岩手じゃなくて青森。

父から送られてきたメモの写真。写真提供/バービー

てっきり本家と話はついているものだと思っていた私は、ちんぷんかんになって父に電話をした。「それで、アポは取れたの?」 と聞くと、本家に電話したのは30年くらい前の一度きりで、電話番号も話した人の名前も忘れてしまったという。

「行ったら役場に聞いてみる」が父のこの旅の唯一のしおりだった。もちろん、個人情報保護法の制定された現在、他人が住所や連絡先などを教えてくれるわけがない。

手がかりは、一枚のメモのみ。

そうして、後期高齢者両親と夏の大冒険が始まったのである。