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「森にあるもので生活」オーストラリアのサステナブルツアーが教えてくれたもの
2022.10.04

サステナブルトラベル2 前編

「森にあるもので生活」オーストラリアのサステナブルツアーが教えてくれたもの

「森にあるもので生活」オーストラリアのサステナブルツアーが教えてくれたもの 世界最古の熱帯雨林「デインツリー」は世界遺産「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」にある 写真:山口由美 画像ギャラリーを見る→

欧米で人気のあるエコツーリズム、サステナブルトラベル。UNWTO(国連世界観光機関)によると、サスティナブルツーリズム(持続可能な観光形態)とは「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」である。

2020年より始まったコロナパンデミックは人と人との繋がりや関係性の分断を生んだが、旅行業界にも壊滅的なダメージを与えた。
そんなパンデミックについて、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は今年9月15日に「(世界的大流行の)終わりが見えている」と述べた。日本政府も海外からの受け入れ人数をこれまでの2万人から5万人へと大幅に増やし、10月にはgo to トラベルも再開するという。旅行業界は徐々にコロナ前の状態を取り戻そうとしている。

だが私たちの価値観はコロナ以前に戻るのだろうか。

地球温暖化に起因するであろう異常気象が今夏世界各地で見られ、アウトドア製品を扱うパタゴニアのCEOは気候変動と戦うNPOに自社株を寄付した。余暇、レジャーとされた旅の目的も過ごし方も変わるのは当然のことであろう。

「日本旅館進化論 星野リゾートと挑戦者たち」など、旅とホテルをテーマにノンフィクション、小説、紀行、エッセイ、評論など幅広い分野で執筆する作家山口由美さんが、コロナ禍後最初の海外取材に選んだのは、南半球はオーストラリア、クイーンズランド州のケアンズだ。その地を選んだ理由を山口さんは「デインツリーを先住民に返還という2021年9月のBBCニュースの記憶が残っていて、そこがケアンズから日帰り圏であることと結びついた」と答える。
世界最古の熱帯雨林と言われるデインツリーで先住民の生活そのものを味わうツアー。これをサステナブルツアーと呼ぶ理由と参加の意義を山口さんの体験を通してお伝えする。

地元住民の生活を体験できるツアー

キッチンから美味しそうな匂いがしてきた。竹槍で捕獲したマッドクラブにココナッツミルクと唐辛子を効かせて煮込んでいる。
美味しい。マングローブ林で捕った貝の出汁もきいている。レモンを搾って酸味を加えるとさらに美味しくなる。思わずむさぼるように食べてしまう。でも、もしかして彼らの夕食のおかずでもあるのかなと思い、途中で少し遠慮した。料理のアクセントとなったレモンは庭に生えていたものだった。

ココナッツミルクと唐辛子で煮込んだマッドクラブ。写真:本人

「ブッシュレモンだよ。気に入ったなら、我が家にもっと良いのがある」
リンクの家はビーチから少し内陸に入ったところにあった。一抱えほどのレモンを私たちに渡すと、彼は駆け寄ってきた幼い娘を抱き上げた。

庭から採ってきたブッシュレモン。写真:本人

サステナブルトラベルの解釈はいろいろあると思うが、その土地の自然や文化のありのままを旅人が共有し、その対価が地元の人たちの経済的利益として寄与し、結果として、地元の自然や文化が未来に継承されていく旅ではないかと私は考える。
今回参加したツアーは、まさにそれだった。

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