2022.10.01

責任も栄誉も「たまたま」就いたポスト次第…哀しき軍人官僚の使命

敢えて組織として責任の明確化はしない

国の進路、その舵取りを任されているのは、総理でも大臣でも、ましてや国会議員でもない。彼ら政(まつりごと)を治める者、これはいわばシャッポだ。いざとなればいつでもすげ替えが効く。そうするとどんなシャッポ(政治家)を被せられようとも絶え間なく政を行う「行政」こそが、いつの世、どんな社会でも真の国の舵取り役ともいえよう。

この行政の実務を取り仕切るのが官僚だ。とりわけ若手というにはとうが立ち、中堅と呼ぶにはまだ早い、東京・霞が関界隈にある中央官衙、ここの役職にすると筆頭課長補佐クラスのエリートたち、その彼らこそが実質的に国を動かしている。それが現実だ。これは明治の近代国家化以降、大正、昭和、平成、そして令和の現代と変わるところはない。

明治から昭和の初めまで、多少の異論反論はあろうがわが国の官僚社会でもっとも勢いがあり創造的な仕事ができた官僚、それが陸海軍の軍人、すなわち軍人官僚だろう。

その軍人官僚の実態について、<【前編】日本を動かしているのは、首相でも大臣でもない…国の舵取りをする者たちの「正体と実態」>に引き続き語る。

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軍人たちが座るポストの「巡りあわせ」

太平洋戦争開戦から終戦まで海軍の歴史を紐解けば紐解くほど、徹頭徹尾、軍人たちが座るポスト、その「巡りあわせ」によって戦争という国家の重大事が決まっていく様が浮き彫りになっていく。こうした教科書には出てこない歴史の舞台裏を知ることで、これからの時代をどう生きるか、それを考えるうえでのよすがとなるはずだ。

いつの時代でも中央官庁、そこに属する官僚たちにとって、みずからが打ち立てた政策を実現させ、省としての権限を拡大、その力を強めていくこと、これこそが生きがいであり本領発揮の場と言えよう。財務省や経済産業省であれば、あらたなる経済政策を打ち立てる。外務省なら国交のない国と国交を結ぶといった具合である。

では防衛省・自衛隊はどうか。その主たる任務は「諸外国からの脅威に備える」「災害時の対応」だ。やや乱暴な物言いだが、「事があってはじめて仕事ができる」役所といえよう。

これは旧陸海軍も同じだ。だが、一点、現代の防衛省・自衛隊とは異なることがある「事を起こして自分たちの権限をさらに拡げ、軍としての力を強めていこう」――。これが実現できたからだ。

いうまでもなくこの「事を起こす」とは戦争のことにほかならない。

戦争とは、いわば国を挙げた一大プロジェクトだ。こと太平洋戦争時に限っては旧陸海軍という役所、そしてそこに属する軍人官僚と呼ばれるエリートたちが、みずからの存在のアピールと権限拡大のために「一大プロジェクト」として戦争を引き起こしたといえよう。

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