71歳で年収150万円…再雇用後に「包丁研ぎ職人」に転身したワケ

一人でのんびりやっていける仕事がいい

さまざまなデータから浮かび上がってくるのは、小さな仕事に対して確かな意義を感じながら前向きに働く人々の姿である。

人生100年時代と言われて久しいなか、定年後のキャリアに対して世間ではどのように受け止められているだろうか。

話題のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、定年後の就業者の事例から「定年後のキャリア」の実態を明らかにしている。

ここでは、71歳・年収150万円・自営業の畠中雅夫さんの事例を掘り下げる。

再雇用の5年間での学び

学校での定年は60歳。定年を迎えた後、65歳まで再雇用で勤務した。再雇用のときの心境を振り返ってもらった。

「学校の仕事は、60歳過ぎてからは割と自由にやらせてもらいました。その時もどうせやるんだったら65歳までの5年間、なんていうのかな、終わりが決まっていたのでもう腹をくくってやってこうかなっていうことで。自分なりに充実感を持って仕事をしたいなと思ってやっていました。一日のサイクルのなかでできることに日々取り組んでいましたね」

再雇用の5年間は、彼なりに学びがあった。職場にいる同僚とのかかわり方も、時の経過とともに変わり、職場で様々に工夫を行うことになる。同僚との接し方については、役職を解かれた後のほうがむしろ難易度が高いと感じた。

「職場での立ち振る舞いというところは、いったん定年を終えた後の身の処し方として一番難しいところじゃないかと思います。基本的には、自分の仕事をしっかりやるということに尽きますが、そのなかで後輩に何か伝える必要が出たときには、対等な関係のなかで説得力のあるものをどれだけ伝えられるかなんですね。そんな観点が欠けてたのかと気づくような中身をどれだけ提供できるかだと思います。聞いてもらえないのであれば、それは中身が伴っていないからです」

「管理職であれば一定の権限を付与されてるから、発言にあまり中身がなくても、メンバーはいやが応でも従うんです。でも、我々はもはや純粋に中身でどう相手にありがたみを感じてもらえるかしかないですよね。逆にITに関することだとか、そういうことは新しい世代から教わらないといけない立場ですので。そんな感覚でやっていました」

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