累計440万部の大ヒットシリーズ

たった5分だけでも、まったく意外な真実がわかることがある。小さなことでいえば、「オオタニさん」だと思っていた人が「オオヤさん」だったとわかったり、嫌な上司だと思っていた人が自分をそっとフォローし続けてくれていたことがわかったり、逆にとても優しい義母だと思っていたのに嫌がらせをしていた張本人だったことがわかったり……。

「意外な事実」に、人は感情を大きく揺さぶられる。

累計440万部を突破した「5分後に意外な結末」シリーズは、その「意外性」により子どもたちから火がついた人気作だ。最初は2013年に学研から刊行されるや大ヒット、2019年からは大人向けベストセレクションが講談社文庫より刊行となった。

そしてその大ヒットシリーズがドラマ化。ずんの飯尾和樹さんと莉子さんが学校の教師と生徒としてナビゲーター役となり、「意外な結末の物語」を見ていくという作りになっている。9月22日放送の第1回では、「呪いの指輪」は北乃きいさんと田口トモロヲさん、「隣に住む殺人鬼」は城桧吏さんと津田寛治さんというコンビで繰り広げられた。視聴者は飯尾さん、莉子さんと一緒にその物語を見ているという仕組みだ。ホラーだと思ったら心温まる物語だったり、その逆だったり、はたまたまったく別の意外な展開だったり……。

(c)桃戸ハル・講談社/読売テレビ

その「意外性」を楽しむためにも、ドラマの原作にはなっていない作品「読心薬」を、『5分後に意外な結末 ベスト・セレクション 心弾ける橙の巻』より特別にお届けする。

 

大嫌いな彼の家を訪ねた

今、目の前にいる男が、私は嫌いだ。
同じ大学の研究室で働いている私は、彼が優秀な研究者であり、少し要領の悪いところはあるが、誠実な人間だと周りから評されていることも知っている。
しかし、一見、無害で人のよさそうなその顔の裏には、卑怯でずる賢い本性が隠れている。私は、ずっと前から、そう思っている。

ただそれは、私と彼が、同じ女性を愛するライバル同士だから、その敵対心が影響しているのかもしれない、という、自分への懐疑心もなくはない。

私が今日、大嫌いな彼の家を訪ねたのは、そんな隠された本性の尻尾を、ついにつかんだからだった。
「君がカーラの心をどうやって射止めたのか、その理由がわかったよ」
私がそう言うと、彼はひどく驚いた様子でこちらを見つめてきた。
「まさか、僕の研究資料を勝手にのぞいたのかい?」

すぐに、そのことに思い当たることこそ、決定的な証拠だろう。
「人の心の中を勝手に盗み見るより、マシだと思うがね」

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