サステナビリティへのシフトといっても考え方や取り組む姿勢には様々な形があります。未来を見据えたデザイナーの思いから、会社を巻き込んでのポジティブな改革まで、これからの服について話を伺いました。

UNION LAUNCH
加藤公子

共同体として服を作ることで職人技の素晴らしさを伝えたい

加藤公子さんが日本の職人技術の継承を掲げ、消費者との「つなぎ手」になるべく、〈ユニオンランチ〉を立ち上げたのが2016年。SDGsという言葉すら知らない人が多かった頃だ。

 

「旧式の織機で織られた生地が好きで。日本各地の工場を回る中で、古くからの機屋さんなどにデッドストックの生地が眠っていることを知って『こんなにいい生地があるのにもったいない!』という感覚から始まっている。だから、SDGsを語るのはおこがましいのですが(笑)。機屋さん、縫製や加工の工場さんにも、最初のブランドを立ち上げた時からたくさん勉強させてもらった。共同体として服を作るという思いからタグに協力工場の名前を必ず記すようにしたんです。素晴らしい技術が途絶え始めている現状に対して、その種火を残していけるように。一方で、新しく作る素材に関しては彼らの力を最大限引き出せるものにしたい。そして一緒に作った生地は他でも使えるようにエクスクルーシヴとして囲うことはしない。みんなそれぞれに活躍の場が広がるように」

ブランドを象徴する定番ブレザーはデッドストックの生地感の再現という新たな試みにトライしている。フレアースカートは老舗生地店の残反を利用。たっぷりしたボリューム感とロング丈が可愛い! ジャケット¥86900、スカート¥47300(ユニオンランチ/サザビーリーグ☎03-5412-1937)

新しい取り組みも増えているという。

「天然の藍を育てて染めている藍師さんに出会って、岡山県井原市にて本藍でロープ染色したデニムを新たに製作しました。染め終わった藍汁もまた畑の肥やしになる。全てが循環するんです。また、富山県南砺市で歴史ある城端絹を唯一継承している松井機業さんとは、問屋の廃業で返品された反物や絹の落ち綿を集めて紡績した特絹糸を使ったインナーを協業で製作。スタンスとしては何も変わっていないのですが、自分が信じてきたやり方は、このまま突き進んでも大丈夫なんだと確信できるようになりました」

加藤公子
かとう・きみこ/文化服装学院卒業。バイヤー、プレスなどを経て、2008年「グラフィット ランチ」設立。15年日本の職人技術継承のプロジェクト立ち上げと同時に休止し、その意思を継ぐ新たなブランドとして16年「ユニオンランチ」をスタート。