「おかんこを頂戴する」
前回「100年以上前の『発禁小説』に見る、『性』の大転換」では、森鷗外の小説「ウィタ・セクスアリス」を中心に考えを進めてみました。
その最後で、小説の主人公金井
「おかんこを頂戴する」という「奇妙な詞」を寄席で聴いたという経験です。
最新版(2022年)の岩波文庫では「おかんこを頂戴する」に注がついています。それによると、この「奇妙な詞」はこう理解されるもののようです。
「「かんこ」は女性器の隠語。全体で性的関係を意味する。」(『ウィタ・セクスアリス』43頁)
注の表現自体、「性=sex」というシステムでの説明となっていることがまずわかります。現時点で解説するのですから当然と言えば当然ですが。
また、いまですと「エッチする」という表現で説明もできるはずです。しかし、「エッチする」を使わないのもポイントかも知れません。学術的に説明しないといけないからなのでしょう。