スマホの国内普及率が9割超(※1)となった今「スマホを無くした(落とした・盗難に遭った)」という経験は珍しいものではない。

しかし、無くしたスマホが無事手元に戻る確率は、かなり低い。少し古いデータだがiPhoneに限ってのレポート(※2)によると、見つかった(回収できた)確率は約7%。「iPhoneを探す」機能は当時から実装されていたので、現在も回収率が急激に上昇しているとは考えにくい。

スマホの紛失は思った以上に多い。photo/iStock

驚くほど高額になったスマホを紛失したら金銭的にも痛手だが、他者との連絡はもちろん、交通機関や買い物の支払い、音楽・動画視聴や情報検索など、あらゆる場面でスマホ頼みなこの時代、いつも通りの生活は著しく困難になる。また、紛失したスマホ内には膨大な個人情報が存在し、流出・悪用の危険もある。数年前の小説「スマホを落としただけなのに」は映画にもなり話題を集めたが、「スマホを落とす」ことは、現代社会において大事件だ。

今回、スマホを無くして帰宅した夫のために、家族総出で大捜索を行い、無事回収に至った元雑誌編集者の沢井加奈さん一家の体験談から誰にも起こりうる「スマホ紛失」解決のヒントを探ってみたい。

※1:総務省:令和3年通信利用動向調査の結果
※2:マカフィーとPonemon Instiuteによる調査(2012年)

 

危機感のない父母に呆れる娘と息子

コロナ感染が少し落ち着き、久しぶりに飲み会に出かけた夫。なんと帰宅するなり、ガックリした表情で「ヤバい。スマホ失くした…」と一言。

「えー、4月に新しくしたばっかりでしょ! どこで失くしたの! 飲んだお店に確認した?」とまくしたてる私の大声に驚いたのか、大学生の娘と高校生の息子が部屋から出てきた。

「いや、帰りに駅の改札でスマホは使った(夫はモバイルSuicaを使っている)……。電車の中でスマホ見ながらウトウトしちゃって。寝過ごすと思ってあわてて降りて、改札出ようとしたらスマホがなくてさ。電車の中に忘れたのかなぁ。その場で駅員さんに確認してもらったんだけど、まだ駅には届いてないって……」と説明した後、目の前で仁王立ちする私と子どもたちに気づいたのか「しょうがない。明日、新しいの買ってくるよ。ごめん、許してぇ~」とオチャらけて事態の収拾をはかろうとした。

飲んだ後、スマホで改札を通ったまでは記憶がある夫……。photo/iSotck

「あのスマホ、10万円以上したのよ! どうせ使いこなせないんだから安いのでいいじゃないって言ったのに最新のがいいって言い張ったんだよね! だいたいさぁ…」と私がブチ切れかけた瞬間、「ママ、そういうことじゃないから!」と娘がさえぎった。普段無口な息子も「そうだよ、ふたりとも危機感なさすぎ! スマホの値段どうこうの問題じゃないよ!」と夫だけでなく私まで叱りつけてきた。え!? なんで私までも!??

「問題はさ、スマホ本体よりも中身なわけ。悪い人に拾われてロック解除されたらどうなると思う? 電子マネーでバンバン買い物されちゃうかもよ?」と息子。「アドレス帳から私たち家族やほかの人の個人情報も漏れちゃうかもだし、パパの会社関係のメールや資料が流出したら大ごとだよ?」と娘が冷静に追撃する。