EVシフトとグリーン経済の弊害が…!鉱物資源の深刻すぎる大量消費と熾烈な争奪戦の行方

年内には新車の10台に1台がEVに

昨年から今年にかけて、電気自動車(EV)の車載電池に含まれるリチウムやニッケル、コバルトなどの価格が高騰している。

 

元々、これら鉱物資源(ミネラル)の市場価格は上下動が激しいことで知られるが、たとえば一昨年の末頃に付けた直近の底値と比べると、今年はリチウムが約9倍、ニッケルやコバルトなどは2~3倍もの高値で取引されている(図1)。

図1 電気自動車のバッテリー(二次電池)とそれに使われる鉱物資源の価格推移/出典:”Global Supply Chains of EV Batteries,” International Energy Agency(IEA), 2022

こうした資源価格の高騰には、供給と需要の両サイドが影響している。

まず供給面では、2020年以降の新型コロナ禍や今年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻などによるサプライチェーンの混乱が挙げられる。これにより市場に出回るニッケルをはじめ各種の鉱物資源が不足した。

一方、需要面ではEV市場の急成長が大きな要因の一つとして挙げられる。2020年頃から電気自動車の販売台数は、中国・欧米市場を中心に毎年ほぼ倍増の指数関数的な成長局面に突入した(図2)。

図2 世界市場におけるEV販売台数(PHVも含む)の推移/出典:”Global sales and sales market share of electric cars 2010-2021”, IEA, 2022

この図は「BEV(Battery Electric Vehicle:車載電池だけで走る純粋な電気自動車)」と「PHV(Plug-in Hybrid Vehicle):車載電池とガソリン・エンジンを動力として併用するプラグイン・ハイブリッド車」の両方を足した販売台数だが、それら全体の約7割はBEVである。

テスラの上海ギガファクトリー photo by gettyimages

今年に入っても、その勢いは衰える気配がなく、おそらく年末までには世界で発売される新車の約10台に1台はBEVになる見通しだ。

これらの電気自動車には、従来のガソリン・エンジン車(conventional car)の何倍もの量の鉱物資源(minerals)が使われている(図3)。

図3「自動車」や「発電」に使われる鉱物資源の量はEVシフトや脱炭素化に伴い急増する/出典:”The Role of Critical Minerals in Clean Energy Transitions,” IEA, 2021

EVの販売台数が急増すれば、当然リチウムをはじめミネラルの需要も急激に高まる。これが供給面での逼迫と相まって資源価格の高騰へとつながったのだ。

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