5年ぶりに鳴った「Jアラート」
北朝鮮が日本列島を飛び越えるルートで弾道ミサイルを試射した。米軍基地が集中するグアム島を射程に収める「火星12」を使って9月下旬に行われた米韓共同演習への強烈な不満を示す同時にミサイル精度を高める一石二鳥の狙いとみられる。

旧統一教会や国葬問題で内閣支持率がガタ落ちした岸田文雄政権にとっては「追い風」といえる。対外的な危機は国内の団結を促し、ひいては支持率上昇につながるからだ。
予想した通り、松野博一官房長官は談話を発表し、国民の不安な気持ちに便乗する形で「反撃能力の強化を含め、防衛力を抜本的に強化する」と述べた。ロシアによるウクライナ侵攻を利用して「敵基地攻撃能力の保有」や「防衛費の対GDP2%増」を訴えたのと同じ構図である。
記者会見した岸田首相は「断じて許すわけにはいかない」とトーンを強め、日米韓連携強化の重要性を訴えた。

北海道、青森県では全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴り響き、地下鉄や新幹線が一時、止まる事態に。無関係だったにもかかわらず、東京都の島嶼部8町村でもJアラートが鳴り、避難の呼び掛けがあった。
この誤報について、松野官房長官は「誤り」と認めたうえで「詳細をよく確認した上で、今後の体制をしっかり考えていきたい」と釈明した。
鳴ってから逃げたのでは遅すぎる
Jアラートが鳴った場合、どうすればよいのか。
内閣官房の国民保護ポータルサイトは「近くの建物の中か、地下に避難してください」と指示しているが、現実に対応可能だろうか。
韓国の報道によると、ミサイルは4日午前7時22分ごろ、北朝鮮の慈江道舞坪里(チャガンドムピョンリ)から発射され、東北地方を通過して午前7時44分ごろ、日本の東方約3200キロメートルの太平洋上に落下した。