「円安で儲かった37兆円」を経済政策の財源に充てよ…財務省が臨時国会で触れられたくないこと

経済論戦は、野党は攻めどころ一杯

臨時国会が10月3日に召集された。会期は12月10日までの69日間の予定だ。この臨時国会では総合経済対策と補正予算の策定が見込まれるが、野党は旧統一教会問題で追及を強めるとみられる。会期中にはG20など外交日程もあるが、岸田政権の課題は何か。

岸田首相は所信表明演説で、(1)物価高・円安対応、(2)構造的な賃上げ、(3)成長のための投資と改革の3つの重点目標を掲げた。

(1)の物価高・円安対応では、海外要因のコストプッシュをどうするかが問題だ。そのために、二次補正予算案が臨時国会に出される。

岸田政権は、電気代の負担軽減に取り組むとしている。企業・世帯への現金給付案や電力会社への補助金で価格上昇を抑える案などで対応するのだろう。これはミクロ的には悪くないが、マクロの視点が欠けている。

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マクロ的対応では、最終消費者への所得補助を行って有効需要を作り、価格転嫁を行いやすくし、最終消費者も実質負担がないようにするのがベストな政策だ。そのためには、現在あるGDPギャップを解消するような規模の経済対策がまず必要だ。

 

GDPギャップについて、内閣府では2022年4-6月期2次改訂後、▲2.7%としている。しかし、内閣府の過去のGDPギャップは2%に達しても完全雇用を達成しなかったことから、潜在GDP水準は2%は過大といえる。実際には▲4.7%程度、27兆円程度だろう。

GDPギャップが残ったままだと、余分な失業が残り、人手不足にならないので、賃金の上昇も期待出来なくなる。その結果、(2)の構造的な賃上げもできなくなる。

最終消費者における負担軽減という観点から言えば、事務的に容易なのは消費税減税や社会保険料減免で、効果も大きい。しかし、財務省主導の岸田政権は、こうしたマクロ経済の理解が心許ない。この経済分野で野党は攻めどころ一杯なので、ぜひ有意義な国会論戦を期待したい。

今国会で提出される法案は多くない。

次の感染症危機に向け、個人や病院に対する行政権限を高める感染症法改正案や、一票の格差是正策として衆院小選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案など18本だ。その他原発再稼働や防衛費増額なども議論になるだろう。

一方、野党からはカルト被害防止法・救済法案を提出する動きがある。これは、安倍元首相の暗殺したテロリストの思う壺だ。宗教法人の主体に着目する規制は邪道である。せめて現行消費者契約法の改正などの行為に着目し、宗教法人に限定しない規制とすべきだ。

 

筆者としては、特定宗教に限定した国会審議は避けてほしいと思っている。ニュージーランドのアーダーン首相は「(テロリスト)の男には何も与えない。名前もだ」と言ったが、今国会では、その意味でも暗殺者の議論をしてほしくない。そんな話題はテレビのワイドショーにまかせておけばよく、国会に相応しくない。国会は、国家の基本たる安全保障や経済を議論する場だ。

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