世界競争力ランキングで、日本企業の地位が惨憺たる状態だ。全体では世界の中間あたりなのだが、項目によっては、なんと世界最低になっている。時価総額でみても、上位100社にはトヨタ1社しか入らない。どうしたらこの状態から脱却できるか?
「デジタル競争力」で日本は「世界最低」!
スイスのIMD(国際経営開発研究所)が作成する「デジタル競争力のランキング2022年版が9月28日に公表された。
日本は、63カ国・地域中29位と、昨年より順位が下がった。
評価項目ごとに日本の順位を見ると、「国際経験」と「企業の俊敏性」とでは、63位。つまり、「世界最下位」だ。
これを普通の言葉で言えば、「日本企業は世界で何が起きているかをしらず、動きがのろい」ということになる。
また、「ビッグデータ、アナリティクスの活用」で63位、「デジタル・テクノロジースキル」でも62位だ。これを普通の言葉で言えば、「世界のどの国の人も使えるデジタル技術を、日本人は使えない」ということになる。
すべての項目で「最低」となっているわけではないが、重要度の高い項目で最低だ。少なくとも、先進国の中で最低であることに間違いない。惨憺たる状態としか言いようがない。
改めて言うまでもなく、これは、「とんでもないこと」だ。尋常なことではない。非常事態だ。
日本企業はアフリカやモンゴルの企業と同列
IMDが公表しているもう一つのランキングである「世界競争力のランキング」の2022年版(6月14日に公表)では、日本の順位は、63カ国・地域のうちで34位だった。
アジア・太平洋地域で見ると、14カ国・地域中10位で、マレーシアやタイより順位が低い。
このランキングは、「経済状況」、「政府の効率性」、「ビジネス効率性」、「インフラ」という4つの項目について評価を行なっている。そのうちの「ビジネス効率性」において、日本は、世界第51位まで落ち込んでしまった(図表1参照:なお、スペースの制約で、図表1には一部の国しか示していない)。
■図表1 IMDによるランキング(ビジネス効率性)

日本企業は、アフリカの企業やモンゴルの企業とほぼ同列の存在になってしまったのだ!
「ビジネス効率性」の細分類を見ると、「労働生産性評価」では59位、「企業の効率性に対する評価」では、大企業が62位、中小企業が61位だ。そして、「デジタル化を活用した業績改善」では60位だ。
「経営プラクティス」の項目では、「企業の意思決定の迅速性」、「変化する市場への認識」、「機会と脅威への素早い対応」、「ビッグデータ分析の意思決定への活用」、「起業家精神」の5項目の全てで、最下位(63位)だ(三菱総合研究所のホームページによる。なお、同研究所は、日本のデータをIMDに提供している)。