2022.10.21

子ども同士で「被害者」と「加害者」に…児童養護施設で起こる「性被害」の過酷な現実

セックスワーカーを中心に取材をしているライターの中塩氏は、4年ほど前から性の学び直しを始めたという。性被害にあった当事者への取材を通じ、自身も小学2年の時に性被害にあっていたことを思い出したのがきっかけだ。その内容は『7歳で「性被害」にあった女性が、大人になって“性の学び直し”で知った「プライベートパーツ」の重要性』で記している。

学び直しで改めて知ったのは、「自分だけが見たりさわったりしてよいところ」を指す「プライベートパーツ」や、領域の侵害をあらわす「境界線(パウンダリー)」という概念だった。そこから、実は大人が性の知識を持たなさすぎるという現実を知る。

性に関する話はタブー視されがちだが、幼少期に大人が正しい知識を教えてもらっていれば、被害にあった人も自身も被害に遭わずに済んだかもしれない。そんな考えに至り、さらに当事者の話に聞き続けた結果、被害者、加害者に関する驚きの実態を目の当たりにする。

※この記事は被害に関する描写があります。フラッシュバック等の症状がある方はご留意ください。

可視化されつつある男性の性被害

性被害は立場を利用して起きる。強き者が弱き者を、という図式だ。大人が子供を、男性が女性を……といった具合いに。しかし最近、その図式以外の被害も表面化してきた。男性が男性を、子供が子供を、女性が男性を……といったものだ。

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新宿2丁目の元ウリセンボーイのAさん(30代)は小学2年生と中学1年生の時にスーパー銭湯で男性から被害に遭っている。加害者はおそらくゲイ男性(もしくはバイセクシャル男性)。

本人は「そんなにすごく嫌な思い出じゃない。心の傷にはなっていない」というようなことを言っていたが、心の傷になっていなければ問題ないんじゃ? と、精神的被害のみで判断してはいけないと思う。

まず、性知識のない子どもに性器を咥えさせたり、さわらせたりすることが、極めて卑劣・卑怯、悪質な行為であることを自覚する必要があると思う。そもそも性器はプライベートパーツだ。

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