2022.10.21

子ども同士で「被害者」と「加害者」に…児童養護施設で起こる「性被害」の過酷な現実

中塩 智恵子 プロフィール

性犯罪に関する刑法(1907年制定)は、男女の性交だけでなく同性同士の性交にも適用されるよう2017年に改正された。肛門・口腔性交が含まれることになったのである。同性愛は以前よりタブー視されなくなった。

ここ2~3年、男性の性被害・加害ニュースや特集番組を目にするようになったのは、被害に声をあげる人が増えてきたからだ。その背景には、被害は恥ずべきことではなく、犯罪だと認識されるようになってきたのが理由に挙げられるだろう。

児童福祉施設での子供同士の性暴力

つぎはニューハーフヘルス嬢で男の娘AVにも出演している荒金さとみさんのお話しだ。荒金さんの半生は拙著『男娼』に書かせていただいた。その取材のさいに性被害の話が出た。『男性→男性』への被害、そして『子供→子供』と加害も被害も子供のケースだ。

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荒金さんは母と子の一人親家庭で育ち、小学5年生のときに母親が亡くなったため、児童養護施設で生活することになった。その施設で同級生と先輩から被害に遭い、小6でいきなり肛門性交を経験することになる。その後、高校生になり、寮でも被害に遭った。今回、荒金さんにあらためて話を伺ってみた。

「一番最初は小6で11歳の頃、相手は同級生です。あとから先輩からも。男性と女性を建物で厳格に分けていたので、そうすると、その中で女性に近い雰囲気の子を犯してしまったりとそういうことが起きるんです。それが施設の中で頻繁に起きていて、ほかの人も犠牲になっていました。さわられるぐらいは毎日普通にありました」

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