「小中高の6年で3回施設を変わっていますが、3回ともそういうこと(性被害)が起きました。相手はゲイではなく、全員ノンケ(異性愛者)です。
そのうち放課後、施設へは帰りたくなくなり、友達の家に2~6人で集まってAV鑑賞会をよくしていました。そのときは施設で起きたような同性間性被害は一切起きず、むしろ学校の友達との関係は健全そのものでした。
施設も一般家庭と同じように、エロ本などの所持品の自由と孤立できるプライベートな自由を確保し、児童には『自分は自分、他人は他人』として接するよう指導すれば、施設内での性被害は防げるのではないかと思います」
大変な経験をされてきましたね……としか返答のしようがない内容だ。児童養護施設でも高校の寮でも性被害に遭い、加害してくるのはゲイ男性ではなく異性愛の男性。
私の友人のゲイ男性数人も、高校時代(男子校)、寮で被害に遭っている。こちらも加害してきたのは異性愛者という共通点がある。そして被害者のゲイ男性は身長が高くなく細身で小柄な点も共通している。
高まり抑えられない性欲を、女性らしい背格好の男子生徒に求め加害することは、公にならないだけで確実に起きている。
荒金さんはじめ、私の友人たちも深く傷ついたとは言わないけれど、不快な思い出、あるいは消化できないモヤモヤする出来事だったと話している。これらから導かれるのは、思春期の男子だけの生活施設には、性的欲求を解消させるTENGA等の導入が必要ということだろうか。10代の性衝動はそれだけ強い。
荒金さん曰く「所持品としてエロ本やAVなどアダルト関連のものは没収せずに、ある程度は見逃してあげたほうがいい」とのことだ。
荒金さんがいた児童養護施設は、エロ本やアダルトビデオは没収され、所持品も管理されていたため、性的欲求を発散させることができず、逆に抑圧される環境になっていたそうだ。
この荒金さんのケースである、児童養護施設での子ども同士の性被害・性加害に関して、厚生労働省が2018年に実態調査する方針を発表した。被害が表面化し看過できない状況になったのだろう。
2019年に初めて『児童養護施設等において子ども間で発生する性的な問題等に関する調査研究報告書』が出た。『性的な問題の当事者となった子ども』は2017年度で1,280人となっている。
『結果を分析して予防マニュアルを作成する』(厚生労働省)とのことだったが、2021年の同報告書のうしろのほうにマニュアルのようなものが掲載されていたものの、これがその予防マニュアルに該当するのかは読んでみてもちょっとわからなかった。