新体制の決定を「先送り」
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の迷走が止まらない。
安倍晋三元首相の死去に伴い空席となった会長ポストをめぐり、ベテラン議員には塩谷立元文部科学相を推す声があったものの、これに若手・中堅議員らが反発。決まりかけていた「塩谷派」誕生が土壇場で白紙に戻るという醜態をさらしたのだ。
当面は後継会長を置かない不自然な状態を維持するというが、同派の歴史は対立と分裂の歴史でもある。薄氷を踏むような派閥運営には、党内での影響力低下を懸念する声も漏れる。
「新しい体制を考えていたが、いろいろな意見がある。無理にやるとおかしな方向に行きかねないということで丁寧に時間をかけようとの結論に達した」
10月13日、安倍派の塩谷立会長代理は派閥会合で、新体制の決定を先送りすることを表明した。同派は9月29日に開いた幹事会で重鎮の衛藤征士郎元衆院副議長が「塩谷派」への衣替えを提案、異論は出なかったとされる。

塩谷氏もこうした意向を念頭に、10月6日の派閥総会で「皆さん方の意見もあり、もうしばらくはお待ちいただきたい。来週ぐらいには、と思う」と述べ、10月13日にも新体制を決定する考えを表明していた。塩谷氏は当選10回の経験豊富なベテランで、党総務会長や党選対委員長などを歴任しており、キャリア的には申し分ない。