「自分に自信がなさそう」だからねらわれる

「思ったことを表に出しても、ロクなことはない。
人と衝突したり、傷つけたり、恥をかいたり」するから。

5年間同棲していた彼から、突然「気になる人がいます」「しばらく家に帰りません」というメールを受け取った主人公・チャコ。
激しく動揺するも職場ではいつものようにふるまい、ウソをついてまで普段の顔を崩さない。会社でのチャコは「笑顔6」「うなづき3」「意見1」。感情は極力出さないようにしているからだ。

私をとり戻すまでのふしぎな3日間』(川瀬はる著/オーバーラップ)は、湧き上がってくる感情を踏みつぶして生きてきた主人公が、ふしぎな子どもと出会ったことをきっかけに、本来持っていた自分の心をとり戻していくコミックだ。

彼とは「5年間ずっとフツーに楽しく」やっていたはずなのに、「なんで?」と動揺しながらも、職場では普通にふるまうチャコ。
そんなチャコに対して、同僚で押しつけがましいスズモリさんは「オーラがくすんでいる」だの「かわいそうな子」と言い捨てる。
「なんでそんなことを言われなくちゃいけないの?」と腹立たしく思っていたが、同じようにスズモリさんに言われっぱなしの相手を見て気が付いた。
「あの子と私、そっくり」。
「はっきり言えない」「自分に自信がなさそう」だから、あの子も自分もスズモリさんにつけこまれることに気づき、チャコはますます自信を失ってしまう。

 

猫背で背中に肉がつき、よれよれの服を着た自分。おまけに自信がなさそうで、ハッキリと断れない。そんな自分だから、彼に出て行かれても当然なのかも。
これまで見ないようにしてきた自分を直視し、自己嫌悪するチャコの姿を3話までにお伝えしてきた。
後悔と孤独で押しつぶされそうなチャコは誰かに人生を決めてもらいたくなる。家に帰りたくなくて、渋谷に向かったチャコの行先とは。第4話でお伝えする。

レタスクラブwebでの連載中は、更新するたびアクセスランキング1位を獲得。2021年に発売後も、「過去の自分と触れ合って自分らしさを手に入れる。ラスト、本当によかった。」「自分に刺さり過ぎて泣いてしまった」「過去の自分と決別せず一緒に生きる覚悟が胸を打ちました。」など、twitterでも深い共感の声が集まった『私をとり戻すまでのふしぎな3日間』は自分の感情をないがしろにした時のやりきれない思いを溶かしてくれる、至極の1冊だ。

コミックの無料試し読みを、著者インタビューと合わせてお楽しみいただきたい。

あの部屋に、帰りたくない

自分に自信がなくなり、「これから先、私のことを好きになってくれる人なんて、現れるんだろうか」と考えて眠れなかったチャコ。
ずっと続くと思っていた日常の不確かさに、何かにすがりたくなり、同僚が話す占いの話に興味を抱く。

そんな4話は次のページからお読みいただきたい。