通帳も代表印も「大阪組」が管理
維新の党が「大阪組」と、そうでない「東京本部」で分裂するのは決定的な展開となってきました。
2015年10月20日、本格化した維新の党の分裂騒動の最中、訴訟担当として維新の党の東京本部に呼ばれた私は、訴訟を提起しなければならなくなった事実関係を聞いて、心底驚きました。
維新の党は、松野頼久代表、今井雅人幹事長であったにもかかわらず、党員名簿から政党交付金の通帳、届出印、代表印にいたるまで、東京本部ではなく大阪の事務方が管理していたのです。
そして驚くべきことに、維新の党「大阪組」の面々は自らが「代表ではない」と否定している松野頼久代表の名前と印鑑を使って、10月20日に支給される6億6619万5750円の政党交付金を10月6日に申請していました。
これに対して、維新の党の今井幹事長が10月13日付で通帳と代表印の引き渡しを求めます。だが「大阪組」はこれを拒んだため、東京本部は対抗措置として17日に維新の党の銀行口座を凍結しました。
私はその事実を聞き、「ああ、大阪維新の人達は、ともかく『維新』と名の付くものすべてを自分たちの手の中に持ち続けたくて、大阪組以外には何一つ渡すつもりがないんだ。それを当然のことだと思っているんだ。この人たちにとって『維新』とは、徹頭徹尾自分たちの『私物』なのだ」と思いました。

お家騒動の渦中の10月19日、維新の「創立者」である橋下徹氏はこうツイートします。
《政党交付金は税金です。不要になった政党を潰し、支払いを終えて残った政党交付金を国民の皆様にお返しする。本来の維新スピリットとはこういうことです。大阪維新の会の代表として、なんとか維新の党を潰して、少しでも多くの額を国民の皆様にお返しできるよう努めます。本当に申し訳ありませんでした》
橋下氏は、まるで自らが全くお金にこだわっておらず、政党交付金を返還することが自らが仕掛けた分裂騒動の動機であったかのように言い募っていたのです。もう一度書きます、分裂を仕掛けたのは「大阪組」です。
私は「本当にこの人は、1億2千万人の日本人に対して嘘をつくことが、まるで平気なのだ。橋下氏はもう維新から出ていったのに、なぜ関与してくるのか。とても一緒に政治をできる人じゃない」と思い、「維新の党の未来」と題するブログの記事を公開しました。
10月21日には、「法律意見書」が郷原信郎弁護士から提出され、郷原弁護士のブログでも公開されました(「弁護士たる政治家」としての橋下徹氏への疑問)。その中では維新の党規約の極めて常識的・妥当な解釈の帰結として、現在の松野頼久氏が維新の党の正統な代表であることが示されていました。
それと同時に、その正統な代表の許可なく代表印を用いて政党交付金等を申請し、党規約に定める手続きを無視して臨時総会を招集し、代表の変更登記を申請する行為は、偽計業務妨害罪、公正証書原本等不実記載罪、業務上横領罪の可能性が指摘されていました(参考資料:郷原弁護士による法律意見書)。