実質賃金は低下
円安の急激な進行は、食料の多くを輸入に頼っている日本にとって、大きな物価上昇要因だ。これに伴って、家計の支出に占める割合の大きい食料指数が上昇したことで、消費者物価の総合指数は22年4月には前年同月比で2%を超える上昇となった。
原油・資源価格の上昇と急激な円安進行によって、消費者物価の総合指数は22年4月以降、前年同月比で2%を超える上昇が続き、8月には同3%にまで上昇した。思い出して頂きたい、21年の給与所得者の平均給与増額率は2.4%だったのだ。すでに、21年の昇給分は物価上昇で相殺されてしまっているのだ。
そうなると期待できるのは、22年の給与増額分が物価高を乗り越え、どれぐらい暮らしを楽にしてくれるのかということになる。毎月勤労統計調査(従業員5人以上)によると、確かに22年に入ってからの名目賃金は前年同月比で8か月連続の増加が続いている。
ところが、物価を考慮した実質賃金は、消費者物価の総合指数が前年同月比で2%を超える上昇となった4月以降、8月まで5か月連続の前年同月比減少という状況だ。これは、物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない状況にあり、不足分は持ち出しになっているということだ。(表5)
