信州大学特任教授であり、法学博士・ニューヨーク州弁護士である山口真由さん。東大卒の才女として様々なメディアで活躍するが、Twitterでのつぶやきはコミカルで飾らないものが多い。そんな意外な「素顔」を率直に綴っていただく本連載。

今回は、山口さんが社会人になりたてだった20数年前に知り合いに論じられた「愛され系」と「モテ系」の女性分析を振り返りつつ、「女性は選ばれる側であるべき」という暗黙のモラルが未だに蔓延る風潮について、ご自身の価値観も省みつつ綴っていただきました。

全盛だった「愛され」「モテ」のキーワード

私が社会人になりたての頃、というともう20年近く前になるのだが、女性向けのファッション誌は今思えば時代錯誤なキーワードを掲げていたものだ。

そう、あれは私が社会人になった、次の年だったと記憶している。

「この世には愛され系とモテ系がいる」

そう説いたのは、女性誌に就職したばかりの一個上の先輩だった。「愛され」や「モテ」といったキーワードが全盛だった当時、待ち合わせで指定された南青山の喫茶店で、あの頃まだ珍しかったアフォガードを頼んで、濃厚なヴァニラアイスクリームに濃いエスプレッソをだぼだぼと注いでくれた彼は、複雑な光沢を放つトレンチコートをこれ以上ないほど丁寧に畳み、椅子の上のよく見える位置に恭しく置いた。ファッション誌に配属された以上は、と、1年目の給料で買ったのだろう。

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その彼が、自社のファッション誌とライバル社のものとを比べ、「うちは愛され系、あっちはモテ系」というのだが、これはおそらく上司の受け売りだった。

曰く、モテ系というのは無差別攻撃なのだそうだ。周囲のすべての男性の視線を一身に集めたい。そのための全方位的な男ウケを狙うのがモテ系ファッション。一方の愛され系は精密射撃だ。この人と決めた男性との間でステディな関係を築きたい。それ以外の人には目もくれないのが愛され系ファッション。

彼の話をまとめると、モテ系女子は肌見せやボディタッチでやや性的な、ともすれば遊ばれる女の子に陥りがちなのに対して、愛され系女子は清楚で貞淑で真剣交際の対象となる女の子を指すのだという。