『きれいになりたい気がしてきた』はジェーン・スーさんのエッセイ。『女のはしょり道』は伊藤理佐さんのマンガエッセイ。実は、この2冊には大きな共通点がある。
前者は「美ST」、後者は「VOCE」。バリバリの美容雑誌の連載が書籍となった一冊なのだ。
しかし中を読んでみるとわかるとおり、おふたりともどうやら美容に時間もお金もかけていないご様子……そんなおふたりに「キレイ」をテーマに対談いただくと、名言の宝庫になっていった……。
構成／上田恵子
撮影／大坪尚人
45歳で化粧をやめました
伊藤理佐（以下、伊藤）お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。『VOCE』と『美ST』という、美容雑誌に連載を持っている2人ですね（笑）。スーさんは年下なのに考えが先に行ってて、いつも頭いいな～と思いながら読んでます。
ジェーン・スー（以下、スー）いえいえ、暇なだけです。他の人が結婚したり、子ども生んで育てたりしている間に、私は自分のことだけをずっと考えてる暇人なので。「皆さんの代わりに考えて分かったことを並べておくので、気が向いたら持ってってください」と。代行ドライバーみたいなもんですよ。
代行ドライバーとして「わかったこと」の宝庫に
伊藤 代行ドライバー、分かりやすい（笑）。以前、田中みな実さんについて書いてましたよね？ あれ、ものすごく良かったです。でもめちゃくちゃ感動したのに、内容を覚えてない……。
スー それが中年です。それがOVER THE SUN（略してオヴァサン＝おばさん）ってことですよ。
伊藤 あああ～！ 読んで「私が田中みな実さんについて思っていたのはこれだ」となったのに。
撮影／大坪尚人
スー 彼女は自信が持てる状態まで自分で自分を持っていって、そのうえで「Look at me! さあ私を見てください」とやっているじゃないですか。ズルがないんです。ズルがなさ過ぎて隙もないんですけど（笑）。やっぱり仕事人なんですよ。エンジョイビューティーみたいな部分もあるんだろうけど、情報を提示する以上は真面目にやらなきゃいけないという気概がある。人はそのエネルギーに気おされるんですね、ファンもアンチも。あの小さな体で、すごいと思います。
伊藤 えっ、小さいんですか？ 私、写真集も買ってますが、てっきり168cmくらいあるのかと。
スー 全体のバランスがいいんでしょうね。身長は152～3cmじゃないかな？ 体重は私の半分くらいだったはず。
伊藤 まさに“田中みな実プロ”ですね。私も昔は頑張って化粧して、「日焼け止めを塗らずに外出するなんて怖くて無理～！」というタイプだったんですが、今はもう何もやってない。43歳の時に「何もつけないスキンケア」を始めて、45歳で化粧をやめて。今は日焼け止めパウダーを軽くはたくだけです。でもさっきヘアメイクさんに「それでも日焼け止めだけはちゃんと塗ったほうがいい」って言われちゃったけど（笑）。まあシミができたらクリニックに行って、レーザーでバンバン取ってもらえばいいかなって。私は普段何もしたくないから、レーザーでのシミ取りだけはマメにやってるんです。
やらなくなっていく過程も赤裸々に…
スー 私も老人性の盛り上がったシミが出てきて、そろそろやらないとと思い続けて早5年。行かなきゃ！
伊藤 すごくラクですよ。
