田中みな実の「美容」は私の「加筆修正」

スー 世の中には、美容に2~3時間かける人もいますよね。そこまでいくと趣味だし、ある種の強迫観念もあるかもしれないけど、好きでやってるなら素晴らしいことだと思います。まあ私にできるかというと、そこまでの集中力はないから無理なんですが。

伊藤 私も無理。美容雑誌で連載やってて言うのもアレですけど(笑)。

美容雑誌の連載だけど、ファンデーションの話じゃないファンデについて語ってるような話とは一体…(c)伊藤理佐/講談社『女のはしょり道』5巻
 

スー この前インスタで質問コーナーをやった時に、「メンテナンスで一番力を入れてるのはどこですか?」と聞かれたので、「原稿の加筆修正」って書いたんです。ゲラを読んで引っかかるところを何度も直したり、表記を漢字にするかひらがなにするか延々と考えたりしてるので。読んだ人のうち何人が気づくか分からないけど、やらないと自分が気持ち悪い。

伊藤 わかります。私も漫画の吹き出しの写植の位置とか、すごいこだわりますもん。そんなの分かる人にしか分からないのに。

スー それ、たぶん美容も同じなんですよね。メイクの際に眉毛が1ミリどうだとか、唇の口角を上げて輪郭を描くとか。田中みな実ちゃんだって、アイシャドーを塗ってないように見えても、実はすごく計算された位置に入れてキレイになっているわけでしょう? まるで加筆修正ですよ。私たちは、そのエネルギーを違うところで使っちゃってる。そりゃー美容に割く時間なんてあるわけねえ!

撮影/大坪尚人

伊藤 確かにそうだ! やっぱスーさん頭いい! そういえば本の中で、加齢に伴って毛穴が涙型になってきたって書いてましたよね? 肌に年齢を感じ始めたのっていつ頃ですか?

スー 頬の毛穴に気づいたのは30代半ばになってからかな。それまでは毛穴は鼻にしかないもんだと思ってました。その後、40過ぎて明らかに顔が垂れ下がってきて、朝起きて毛穴が涙型になっているのを見た時は「あ~、顔って下がるんだ」と。

伊藤 悲しみ……。

撮影/大坪尚人