焦らずにすむから失敗もなくなる

「揚げかごは必須です。これがあるとないとでは大違い。
揚げかごがあれば一つずつ箸やトングで取り出す必要がありません。一挙に全部揚げられるし、かごにのせたまま休ませることもできます。
上下返したい時もかごを上げてからやれば、焦らなくてすみます。二度揚げも一度上にあげて空気に触れさせたら、もう一度かごを下ろせばいいだけ。
揚げかごがあれば、だれもが焦らず、簡単に上手に揚げられるんです」

強くつかむとつぶれそうなドーナッツも、揚げかごに入っていれば、ベストな揚げ上がりで全部一度に取り出せる。写真:『ちゃんと食べてる?』より

こうして揚げ鍋と揚げかごはセットで作ることになった。そこに油はね防止ネットを加え、3点揃って「絶対に失敗しない」仕掛けになるのだという。
この仕掛けが「絶対に失敗しない」理由を、有元さんが順を追って、説明してくれた。

 

揚げかごが重要な理由

「最初にも書きましたが、揚げ物をうまく揚げるには、揚げ鍋の真ん中あたりに素材が浮いている状態が理想です。よく少ない油でとんかつを揚げたら、裏が黒くこげちゃった、ってなりますよね。あれはとんかつの下の面がフライパンや鍋の底についていたために、パン粉がつぶれちゃったんです。おいしい揚げ物は、上も下もパン粉がツンと立っているものなんですね。
とはいえたくさん油を注ぐと、今度は油の処理が大変ですから、鍋の底からかごを何ミリ浮かすかが、大事なところでした

これはもう実際にやってみるしかありません。底につかないよう揚げかごを沈めてはきれいに揚がったかを確認する。それを繰り返してかごが底につかない、でもきれいに衣が立つ、ぎりぎりの場所が決まりました。
この揚げかごがあれば、崩れやすいかき揚げもきれいに揚げられます。かごに入れて静かに油に沈めればいいので、崩れる心配がないんです。かごを沈めたら、後は見ているだけ。何もしなくていい。ただ見ているだけで本当にきれいに揚がります」

揚げかごを使うとフライの裏表が出来ず両面パン粉が立った状態できつね色に揚がる。写真:『ちゃんと食べてる?』より