フォーリンラブのバービーさんが芸人として、ひとりの女性として、日頃抱えているモヤモヤと向き合い、自らの言葉で本音を綴っているFRaUweb連載「本音の置き場所」(毎月1回更新)。今回は、テレビのバラエティ番組でもテーマに取り上げられるようになった「自己肯定感」について綴っていただきました。“自己肯定感の高い人”として2、3年前から自己肯定感に関する取材が増えたというバービーさんが感じている本音とは。

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安室ちゃんの「TRY ME」の頃に生まれた「自己肯定感」という言葉

自己肯定感(Self-affirmation)という言葉は、臨床心理学者の高垣忠一郎によって1994年に提唱されたといわれる日本語だそうだ。

 

安室ちゃんを、国民的歌姫へとスターダムへ押し出した曲、安室奈美恵with SUPER MONKEY'Sの『TRY ME〜私を信じて〜』が発売となったのが1995年1月25日。

90年代リバイバルは、ファッションだけでなく、メンタルヘルス業界でも回り回っているのかもしれない。とするならば、今は第二次自己肯定感ブームということか。

私が自己肯定感という言葉を盛んに聞き始めたのは、2019年から2020年に差しかかる頃。「自己肯定感について話してください」という雑誌やwebなどの取材が一気に増えた。

日本の若者は世界の中でも自己肯定感が低いらしい

ここで「自己肯定感って何?」ということを簡単に共有しておきたい。日本セルフエスティーム普及協会のHPにはこのように書かれている。

“自己肯定感とは「自分の存在そのものを認める」感覚であり、「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」のことで、「自分が自分をどう思うか」という自己認識が自己肯定感を決定づけています。”

厚生労働省が発表した平成26年版 子ども・若者白書によれば、日本の若者は諸外国と比べて、自己を肯定的に捉えている者の割合が低く、自分に誇りを持っている者の割合も低いのだという。

こうして振り返ると、私が「自己肯定感について語ってほしい」と言われるようになったのは、ラジオで「自虐って、結局そのものさしで他人をジャッジしてるってことになりそうで、あまり言いたくない」と発言し、「おい、散々外見をいじられてた奴が何か言ってるぞ」と、ざわつかせたことも由縁しているのかもしれない。

写真提供/バービー

そこに、これまでの「いつも明るく元気いっぱい」なところや「何を言われてもへこたれない」イメージが相まったのか、自己肯定感が高い人という評価をされるに至った。自己申告したわけでもない、というところが味噌だ。

「自信満々な勘違い女」が時代の空気によって、こうもポジティブに変換されるとは。私自身は何も変わっていないのに。まるで、山手線でも比較的安い価格の田町でマンションを買ったら、高輪ゲートウェイ駅ができて地価高騰したぐらいラッキーなことだ。

「やっぱり私はツイてる」

こう感じること自体が自己肯定感の高い典型らしいが、元々、自己認識は低いときも高いときもその時々によるよね、というスタンスだった。だが、やはり、話をしてみるとその自己肯定力の強さに、驚かれることが多かった。