子どもの成長は“垂直比較”がポイント
ぎん太さんのお母さんの勉強法のモットーは「なるべく机に向かう時間を短く」、「なるべく楽しい方法で」というもの。しりとり、カルタ、パズル、歌など、楽しい遊びを通して、知的好奇心を刺激しながら、子どもを「学びのおもしろさ」に引き込んでいくスタイルだ。

ぎん太「先生から見て、僕の母の教育法というのはどうですか?」
柳沢先生「まず、本を読んで、非常に自然体だなっていう感じがしたの。君は3人兄弟なんだけど、それぞれやっぱり個性が違うから。何を与えれば、この子は一番喜ぶだろう、という判断で、いろいろな子育てをやってきたのかなという印象を受けました。僕は長いこと教育関係の現場にいたから、いろんなケースで勉強したけれど、お母さんの場合は、頭で考える部分以外に、本能的なものもあったと思う。子どものことを本当によく見ていて、純粋に子どもが喜ぶ姿を見るのが、楽しくてしょうがなかったんじゃないかな。
本の最初のほうに『他の子どもと比較しても、しょうがないよね』っていう言葉があるけど、あれはスタートポイントとして非常にいいこと。子どもが持っている力というのは、その子なりのものだから。他の子と比べても、まったく意味がない。そうではなくて、子ども本人の少し前の状態と今を比較してみると、あ、こういうふうに成長しているんだなとか、この子はこういう方向に成長したいんじゃないかな、というのが分かる。それを僕は“垂直比較”という言い方をしているんだけどね。植物が上に伸びていくのを見守るように、子どもを見てあげていれば、何か方法は見つかると思う」