反抗期が来るまでの間に、どう関わるべきか
ぎん太「僕の場合は、母が家庭での時間をけっこう多く取れたので、いろいろ教えてもらえたということもあると思います。でも、たとえば、共働きのお母さんとか、家で子どもと一緒に勉強する時間がなかなか取れない人にとって、我が家の勉強法はちょっと難しいなぁとも思ってしまって……。どうなんでしょうか?」
柳沢先生「確かに今の時代、共働きも非常に多いからね。その場合、たとえ1週間に1度であっても、ある時間のかたまりは子どものために使うんだ! と決めておくのがいいんじゃないかな。子どもと対話をするときも、その時間帯はもう全面的に子どもの相手をする! と意識して、時間を使うとかね。
親の人生を考えたときに、子育てでえらく時間が必要な時期って、実を言うと、10年間くらいなの。大体、中学生になると、反抗期がくるからね。そうすると、親に何か言われれば、うるせーって思うわけだよ(笑)。ということは、大事なのは反抗期がくる前の小学4、5年生までの10年間くらい。つまり、きょうだいがいるなら、一番下の子どもが10歳になるまでが、子育てで本当に必要な時間なんだ。それから先、人生には、まだまだ長い時間がたっぷり残っているから。
君は今、高校生。民法が変わって、18歳で大人だから、親との大人同士の関係がもうすぐ始まるわけ。子どもを育てている親にとって、一番の報酬とは、お互いが大人同士の時間をどれだけ長く過ごせるかなんだ。親子の関係は、よくよく考えると、はじめと終わりはどちらかが、どちらかを世話しているの。ということは、両方とも元気なとき、大人同士の時間が一番楽しいんだよ。だから、子育てするときは、なるべく早く子どもを自立させて、親は要介護状態になるのをなるべく遅くする(笑)。君もこれから、まぁ60~70年くらい、楽しい時間がくると思うよ」