2022.11.07
「歩けるけれど、降りたくない」人類が地上を恐れた理由
「地上で安眠」は火の使用がカギか?直立二足歩行に対する新しい見方
直立二足歩行の進化に対する考え方が、大きく変化しつつある。かつては、人類が木から地上に下りたために、直立二足歩行が進化したと考えられていた。しかし、近年は、直立二足歩行は木の上で進化した、という説が有力になっている。
また、かつては、直立二足歩行が進化したのは人類だけだと考えられていた。しかし、近年では、いくつかの類人猿の系統でも直立二足歩行が進化した、という説が有力になっている。
これらの説については、この『一番簡単な進化の講義』でも、すでに紹介した(参考:〈たくさんいた!? ヨーロッパの森を直立二足で歩く類人猿たち〉、および〈「人類の二足歩行は草原で始まった」説を否定する注目の新説とは〉下記関連記事からもご覧いただけます)。しかし、直立二足歩行の進化については、他にも不思議なことがある。
人類は直立二足歩行を進化させて、地上をうまく歩けるようになった。ところが、そうなってからも、なかなか樹上での生活を捨てられなかった。足はどんどん地上生活に適応していくのに、手はあいかわらず樹上生活に適応したままだったのだ。
それはいったいなぜだろうか。