学内「男色」は当たり前? 「同性愛」という言葉がなかった近代日本の雰囲気

「性」の近代日本誌(7)

「男色」は、参加者ではなく「行為」が主体

前回「【問題】「性」という字を使わずに「セックス」に漢字を当てなさい」は、日本初の国語辞典の一つである『言海』(1889〜1891)に少し深入りしすぎたかもしれません。

ただ、どうしてももう一つ取り上げておく言葉が『言海』には載っています。「色」にかかわるものです。

それをひとまず手掛かりとして今回の話を進めていきましょう。

その言葉は「男色」です。

ネット上の『日本国語大辞典』を引くと、「男色」は、「だんしょく」または「なんしょく」と読み、その意味は「男性の同性愛」「男性間の同性愛」となっています。男色と男性同性愛は同じ意味を持つとされているようです。また、この時の同性愛はhomosexualityと対応していると考えられます。

では、『言海』は、どうでしょうか。

『言海』では「男色」が立項されており、意味としては次のように説明されています。

「男と男と相姦すること」

「相姦」の解釈が難しいですね。

「近親相姦」といった使われ方をすることからもわかるように、「社会通念では良くないとされている二人の間での性交」というように、ネガティブなニュアンスのあるセックスを指す可能性があります。残念ながら『言海』では「相姦」は立項されていません。

ですがあえて負のニュアンスを取り入れると、『言海』での「男色」の意味は、「男性間で行われる通念上よくないとされるセックス」と現代的には言い換えることができるでしょう。

ただ、中軸にあるのは「男性間のセックス」です。したがってポイントはセックスという相互行為です。その相互行為に参加している二人がともに男性である、という理解になるでしょう。

要するに、『言海』において、「男色」とは男性間の性行為をなぞる言葉であった、ということです。もっと単純化すると「行為」がなぞられているのです。

関連記事