一筋の光明
そんな絶望のどん底を味わった塩沢に一筋の光明が差す。
映画『アワモリ君売出す』('61年)のコミカルな講師役が舞い込んだのである。
女性らしくなりたいと願う生徒たちの前で「人のまねをせず、自分だけのものを、自分でつくりましょう!」と元気に叫んだ。
塩沢の明るく健康なイメージができた瞬間である。

塩沢さんの元マネジャー・松野行秀さんが明かす。
「自分の境遇が充実して幸せに生きていたら、楽しくて明るい演技はできない。これが、塩沢さんが口癖のように言っていた言葉です」

その後、園児の母親役や教育ママ役などが好評を博す。
ドラマ『愛の戦士レインボーマン』('72年~)では主人公の命を狙う魔女・イグアナを演じた。
清楚な女優は怪優へと変貌していく。
そしてその約10年後、大ブレイクが待ち受けていた。
