「年収400万円あれば安心」ではなくなった、衰退ニッポンの“深刻すぎる現実”

平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった。

平均年収の生活、いったい何ができて、何ができないのか?

20年ほど労働や雇用の問題を取材し続けてきたジャーナリスト・小林美希さんの注目の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、「平均年収では思うような暮らしができない国」の実情を追っている。

 

年収443万円──安定か、絶望か

年収443万円──。

これは、1年を通じて働いたこの国の給与所得者の平均年収の金額だ。

国税庁が毎年発表する「民間給与実態統計調査」では、2021年の給与所得者の平均年収が443万円で、平均年齢は46.9歳だった。この年齢は、ちょうど就職氷河期世代と重なる。正社員と正社員以外それぞれの平均年収を見ると、正社員は508万円、正社員以外は198万円だった。

就職氷河期世代を中心に広がった非正規雇用で働く側からすれば、平均年収443万円は、夢のまた夢だ。「中間層」が崩壊するなか、正社員以外からの「年収が400万円もあったら、安心して暮らしていける」との声は多い。しかし、現実はちょっと違うようだ。

平均年収443万円というのは、あくまで平均値。中央値は思いのほか低い。年収の分布を見ると、最も多いのが「300万円超400万円以下」で、全体の17.4%を占めている。3番目に多いのが「200万円超300万円以下」の14.8%で、3人に1人が200万~400万円の間の収入となる。ここ何年も、その傾向は変わっていない。

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