2022.11.14

なぜ、ロックミュージックは大音量でも不快ではないのか?

心地よく感じる音の秘密は高音にあり!
“音”は、人が意識することで初めて、“音”として認識される。

好きな音は大きなボリュームで聞いても不快に感じないのに、嫌いな音はたとえそのボリュームが小さくても不快に感じる。

一般的に人間は高音に強い刺激を感じるというが、楽器本来が持つ音だけではなく、音の出し方や雑音、さらには音の長さにも大きな影響を受ける。

人はどんな音に対して敏感に反応するのかを探ってみよう!

(※本稿は、郡司すみ『世界の音』を一部再編集の上、紹介しています)

万人が心地よく感じる環境音とは?

人間の五感、すなわち視・聴・嗅・味・触覚すべてが同じように大切にされている生活が最も健全であると思うのであるが、現状ではまだ十分とは言えない。

何と言っても最大の関心は味覚に集まっている。
そしてすべてに比較すると音についての関心はまだ低いと言わざるを得ない。

一般的にはまだ音を出すもの、あるいは出すことのみに関心が集中しており、環境の音を整えることについては受け身の対策、すなわち出された音の始末が主体となっている。

まず不快な音を出さないこと、次に不可避な音の質の検討などが行われなければ問題の解決にはならないのである。

幸いなことに近年、環境音についての学問的な研究も進み始めてきた。

その効果の現れか、電気製品や自動車のコマーシャルに音が静かであることが強調されている例も見られるようになったが、実際の器機はそれほど静かでもなく、自動車のエンジンの音に心地よさを感じている人もあるわけであるから、需要者側からはあまり切実な要求があるようには思えない。

そればかりか、最近のロックミュージックコンサートやディスコテーク、あるいはヘッドフォーンの愛好者たちが、生理的限界を超えた音の強さのために難聴になることをも辞さないでその快感を味わっている状況を見ていると、音に対する感覚は味覚や嗅覚のように平均的な基準で推し量ることは難しいように思われる。

例えば環境音の改善の試みの一つと思われる駅や電話の従来のベルに代わる新しい音が、すべての人にとって不快ではない音と言えるかどうか疑問が持たれるところである。

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好きな音? 嫌いな音?

快不快よりもいくぶん明瞭であるのは好き嫌いであろう。

快不快は感覚的なもので、受動的・消極的であるのに対し、好き嫌いは感情的であり、能動的・積極的であると考えられる。

われわれは音に対しては、どちらかと言えば好き嫌いの感情で反応している部分が多いのではないか。

例えば、好きな音であればかなり強くても不愉快ではないが、嫌いな音はかすかに聞こえただけでも不快であるというように。

しかし音に対する好き嫌いの反応の中には音以外の多くの要因があるので、これも簡単に論じるわけにはいかない。

楽器の音に対する好き嫌い、あるいは快不快の反応も同様に複雑であるので、ここではごく一般的な例を用い、好感を持たれると思われる音、あるいはその反対の音を形成する要因を探ってみたいと思う。

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