2022.11.14

人口問題をどうする? 経済を考えるだけでは解決策は見つからない!

経済思想史からの教訓とは?
人口問題の解決は日本の喫緊の課題である。

少子化による市場の縮小、生産年齢人口の減少、急速な高齢化による社会保障の増大に対し、政府は高齢者の雇用や需要喚起政策、金融政策など様々な対応を図っている。

だが、それらが有効に機能せず、根本的解決に至っていないのは何故なのだろうか?

この問題を考える上で『人口の経済学 平等の構想と統治をめぐる思想史』は多大な示唆を与えてくれる。

今日の経済学の限界について考えてみたい。

(※本稿は、野原慎司『人口の経済学』を一部再編集の上、紹介しています)

人口減少を論じてこなかった経済学

今日、日本をはじめ多くの先進国では、人口減少が社会的課題となっている。世界的に見れば、人口の過剰な増大もまだ問題であるが、多くの発展途上国も出生率が急速に低下する傾向にある。

人口減少社会は、年金生活の高齢者の増加と、労働者人口の割合の減少を通じて、社会の需要の減少を導きがちであり、商品がより売れなくなる傾向が生じる。それを見越して、企業は投資をより控えがちになる。

その結果、賃金が低下し経済全体がさらに縮小するという悪循環が生じかねない。経済全体の低迷や縮小は、より経済的に弱い立場の人々にしわ寄せがいきがちである。実際に、1990年代の日本の不況下において経済は十分に成長せず、失業率は上昇し、就職状況は悪化し、非正規雇用者が増大し、平均賃金も低迷した。

このような経済全体の低迷と人々の苦境の一因となる人口減少という問題にどう対応するか、喫緊の課題となっている。

この課題の根本的な解決策を見出すことは、筆者の力量を超えることである。ただ、少なくとも、解決策はどの範囲にあるのかについて考察する必要はある。
というのも、人口問題の理解は、経済学の射程を超えた広がりがあり、人口問題の射程の広さを理解することが、人口問題の理解の一助になるからである。たしかに、人口の増減がいかなる経済的影響をもたらすかを理解することは解決を見出す前提として必要であるし、その理解のためには、経済学の知見が必要である。

ただ、「人口減少社会」という問題については、近年に至るまで、一部の例外を除く大多数の経済学者は本格的に論じてこなかった。経済学が発展した18世紀から20世紀までは世界人口は急増する一方であったため、人口増加にどう対応するかに経済学者の関心は集まりがちであったのだ(むろん例外もある)。

それが近年、多くの国において人口低迷(減少)局面に突入し、ようやく多くの経済学者もそのことに注目するようになってきた。そして、発展する現代の経済学においては、人口減少への直接的対応策も提案されるに至っている。

photo by iStock

関連記事