2022.11.14

人口減少を予見して、ケインズは資本主義の制度変更を提起した!

社会の平等化と所得分配という対応策
人口減少問題の解決は日本の喫緊の課題である。

少子化による市場の縮小、生産年齢人口の減少、急速な高齢化による社会保障の増大に対し、政府は高齢者の雇用や需要喚起政策、金融政策など様々な対応を図っている。

だが、それらが有効に機能せず、根本的解決に至っていないのは何故なのだろうか?

この問題を考える上で『人口の経済学 平等の構想と統治をめぐる思想史』は多大な示唆を与えてくれる。人口をめぐる経済学者の思想史を振り返ると、何が見えてくるのだろうか?

ここでは、人口減少の問題を初めて本格的に論じた、20世紀を代表する経済学者ケインズの人口論について考える。

(※本稿は、野原慎司『人口の経済学』を一部再編集の上、紹介しています)

ケインズは人口減少を予見した

1937年の「人口減少の経済的影響」においてケインズ(1883-1946年)は、経済の長期的変動を分析しており、それは人口変動の分析を通じてのことである。

その主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』においては人口について本格的に分析がされていないが、そのことは人口変動がケインズにおいて重要ではなかったことを意味しなかった。むしろ、初期から人口変動には興味をもっていた。

しかし、『一般理論』に至る道で短期・中期の経済変動について理解を深め、とりわけ失業の理論的解明を行った後で残されているのは、失業が根本的な前提とする人口変動についての経済学的理解である。

そしてその際、18世紀以来の平等への関心の継続がケインズにも見られる。

人口変動は経済にとり重要なものとしてケインズは認識していた。ケインズは、人口変動への人々の予測が景気変動にも影響を与える可能性に言及している。人口が増加しているときは、需要見込みに楽観的になりやすい。

というのも、人口が増加しているとき、一般には期待よりも需要が大きくなるからである。そうして需要見込みが楽観的となり資本需要が増加傾向になる。

ところが人口が減少すると、需要が期待よりも少なく過剰供給の解消が困難となる。その結果、悲観的雰囲気が広がり資本需要が減少傾向となる。

こうしてケインズは、人口の増加から減少への転換は、繁栄に対してきわめて悲惨な結果をもたらすと述べる。

ケインズ wikipedia

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