ノーベル賞受賞者20%はユダヤ人、迫害の歴史に抗したその知力と経済力

民族と文明で読み解く「ユダヤ人」・上
世界の民族史・文明史の中でも、とりわけユダヤ人の歴史に関心を持つ人は多いのではないだろうか。そもそも「ユダヤ人」とは何者なのか。古来から現代まで続くアジア諸民族の闘争をトータルに捉えた宇山卓栄氏の話題書『民族と文明で読み解く大アジア史』(講談社+α新書)の著者・宇山卓栄氏が、同様のアプローチで迫る「ユダヤ人とは何か」を、2回にわたってご紹介しよう。今回はその1回目だ。

異宗婚の排除がもたらした結果

ユダヤ人はIQ(知能指数)が高く、多くのノーベル賞受賞者や芸術家を輩出するなど、天才の多い民族です。ユダヤ人は世界の人口の中で、0.2%しかいませんが、ノーベル賞受賞者の約20%を占めます。その中には、アインシュタイン(物理学賞)、ボーア(物理学賞)、ベルグソン(文学賞)、キッシンジャー(平和賞)、サミュエルソン(経済学賞)、フリードマン(経済学賞)らがいます。

ユダヤ人の勤勉さは凄まじく、子供はスパルタ式で徹底した英才教育を施されます。「本と服を同時に汚してしまったら、本から先に綺麗にしなさい」と教えられます。いかに迫害を受け、財産を奪われたとしても、知識は奪われることはありません。

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アメリカの人類学者グレゴリー・コクランは、ユダヤ人が知能に優れているのは遺伝的な要因が強いと指摘しています。ユダヤ人が裕福で、高度な教育を受けることができることも、要因の一つとしてあるでしょうが、そのような環境上の要因が決定的なものではないというのです。

ユダヤ人は宗教的な理由で、ユダヤ人以外の他民族との婚姻がほとんど発生せず、同族内での婚姻が歴史的に繰り返されてきました。コクランは、その閉鎖的な同族婚において、特殊な遺伝的な特徴が子孫に受け継がれてきたと指摘しています(グレゴリー・コクラン、 ヘンリー・ハーペンディング『一万年の進化爆発』、日経BP)。

ユダヤ人が異宗婚を排除し、同族婚を続けたことは事実です。特に、ヨーロッパに渡ったユダヤ人でアシュケナジムと呼ばれるドイツや東欧に居住した一派は、ごく限られた少数の集団の婚姻から派生したことが、最近の遺伝子解析の研究からも解明されています。2014年に行われたコロンビア大学のイツィク・ピア教授らの調査で、アシュケナジム系ユダヤ人の遺伝子解析の結果、現在の彼らは13世紀から15世紀の間における、わずか250~420人のユダヤ人の子孫であるとの結果が出ています。

アシュケナジム系の傑出した知的能力

この結果は、ユダヤ人の婚姻関係が極めて閉鎖的なものであったことを物語っています。ノーベル賞の受賞者のユダヤ人はほとんど、このアシュケナジム系から出ており、コクランが主張するように、ユダヤ人の傑出した知的能力が遺伝的な特徴と深く関係していることを伺わせます。

同族結婚を繰り返してきたことで、ユダヤ人が罹患しやすい遺伝病も存在します。テイ・サックス病、ゴーシェ病、家族性自律神経障害、乳がん変異などの疾病は、交配集団の数が減ることにより劣性の遺伝子変異が増幅される「ボトルネック効果」によって引き起こされる遺伝性疾患です。

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