34歳シングルマザーの苦悩…働いて「父の扶養」を外れるべきか否か、その「意外な答え」
順風満帆だと思っていた人生が、突然崩れ落ちてしまったら、人はどうやって立ち直れば良いのでしょうか?ファイナンシャルプランナーは、様々なリスクを想定し、いかに備えるかプランニングを行いますが、残念ながら備えられないこともあります。
妊娠中に、夫からまさかの離婚を告げられた高山さん。現在は4歳の娘を持つ34歳のシングルマザーです。
ご相談に先立ち家族構成を伺うと、ご両親と娘さんと4人で暮らしているとのこと。「バツイチの私が実家にいつまでもやっかいになっているわけにもいかないので、できるだけ早くに娘を連れ独立したいが、一人でやっていけるのか不安なので相談にのってもらいたい」と話しだしました。
<【前編】28歳新妻が青ざめた…夫から投げかけられた「彼女の人生を変えてしまった一言」>に引き続き、高山さんの事例を解説します。

父の扶養のままが良いのか
高山さんは今働いている先で正社員登用の話を受けました。今は税金の負担をしなくてもよい103万円以内で働いているのですが、もう少し働いて厚生年金にも加入しないかと打診があったそうです。
そろそろ実家を出て部屋を借りようかと計画をしていた高山さん。社員になれたら安定した仕事を手にいれるためには良いことだと思う反面、父親の健康保険の扶養からもはずれ自分で会社の健康保険に加入することになるので手取りが減り、ますますお嬢さんとの二人暮らしが遠のくのではと心配もしています。
勤め先からのお話は、いわゆる令和4年10月に実施された100名以上を雇用する会社の適用拡大を受けてのことでした。適用拡大とは、国が進める厚生年金に加入できる要件を拡大していこうという取り組みで、具体的には週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8.8万円以上の学生ではないパート・アルバイトの方も厚生年金に加入することになりました。
現在高山さんは、税金の支払いが発生しない103万円以内を目安に働いています。この103万円は、給与収入を得ている人は必ず給与所得控除として55万円、納税者1人1人に認められている基礎控除48万円があるため、結果課税所得が0円となり税金の支払いが発生しない(住民税の基礎控除は45万円であるため、年収100万円を超えると住民税の支払いが発生)ボーダーラインとして知られているところです。
一方俗に言う130万円の壁というのは、扶養を外れる年収として知られている数字です。高山さんは現在父親の健康保険に扶養として加入していますが、年収が130万円を超えると高山さん自身で社会保険に加入することになります。
この130万円のラインが上記でご説明した通り、月8.8万円以上の賃金すなわち年収106万円を目安に扶養から外れるようになったのが適用拡大です。これまでは500人以上の会社が対象だったところ、10月から100人以上の会社まで対象が広がりました。