名門校・開成に通う現役高校生が、ほとんど塾に行かず、自宅学習中心で開成中学に合格するまでの実体験エピソードを綴り話題になっている『偏差値40台から開成合格! 自ら学ぶ子に育つ おうち遊び勉強法』(講談社)。「ごく普通の家庭に育ち、父親は会社員で、母親は専業主婦。親が高学歴とか、もともと教育関係者だったというわけではありません」という著者のぎん太さんが、家族と取り組んできた勉強法は、教育の専門家の目にはどう映るのか。
ハーバード大学准教授・併任教授、東大教授などを経て、開成中学校・高等学校校長を9年間務めた後、2020年から北鎌倉女子学園学園長を務める柳沢幸雄先生と、ぎん太さんのお二人の対談を全3部でお伝えします。前編『偏差値40台から“ほぼ塾なし”中学受験で開成合格…母が編み出した「おうち勉強法」』から続く中編です。
第一志望が公立中高一貫校から開成に変わった理由
ぎん太さんのマンガエッセイでは、学校説明会だけでは知ることのできない、開成中・高のリアルな学校生活も描かれている。開成に憧れている受験生はもちろん、開成にあまり興味がない人にとっても、男子校らしく、のびのびとした雰囲気で、マイペースにスクールライフを楽しんでいる生徒たちの日常の描写は微笑ましく、思わずほっこりしてしまう。

ぎん太「やっぱり世間的には開成って、ちょっとガリ勉のイメージがあると思うんですけど、実際は全然そんなことなくて。ブログでは、こういうおもしろい人たちがいるよ、ということを読者のみなさんに伝えたい気持ちもあります。
実は僕が中学受験を考え始めた頃は、公立中高一貫校を受けたいと思っていて、それに向けて勉強していたんです。母からも『私立はお金がかかるから、公立中高一貫校に落ちたら、地元の中学だよ』と言われていたんですけど、だんだん私立も受けたいなと思うようになって。といっても、両親は中学受験の経験がなかったので、私立の学校を考えたときに、パッと名前が出てきたのが開成くらいしかなかったんです(笑)。
受験の前は、家族で開成の文化祭にも行きました。生徒のみなさんの仕事ぶりがすごくて、カバンをなくしたときも、すぐ手配して探し出してくれて。母は『ホテルマンみたい! なんて素敵なの。こういうお兄さんになってほしい!』って(笑)。父も『もし開成に受かったら、がんばってお金出すよ』と言ってくれたので、がんばって勉強しました」