柳沢先生「僕自身も、家で中学受験したのは僕が初めてだったの。親が受験の仕方を教えられないから、塾は四谷大塚に行ったんだけど、『予習シリーズ』は、大体こんなことをやるんだなという全体のスケジュール感がつかみやすいんだよね。テキストをやってみて分からなければ、塾の先生に聞きに行くという使い方をしていたよ。
分からない内容を、自分ひとりで考えても分からないんだから、そこは誰かに教えてもらうことが重要で。小学生であっても、勉強は受け身ではなくて『ここはどうなっているの? 分からないから教えて』と、自分から働きかけられるような受け皿があるといいよね」
ぎん太「僕も過去問をやっているとき、解説を読んでも分からないところを教えてもらうために、小6の秋から塾の志望校別の算数の単科講座に週1回、3~4ヵ月通ったんです。分からない内容が出たときに質問する相手として、塾の先生がいるというのは大きかったですね。自宅学習と塾の両方にメリットとデメリットがあるので、人それぞれ、うまく塾を活用する方法を見つけられたらいいのかなと思います」
重要なのは、失敗したときの対応
柳沢先生「僕は受験勉強というのは、非常に重要なものだと思っているんだ。なぜなら、職業選択の自由がある現代の社会で、自分の人生で最適な選択をしようとしたら、それぞれの場所で必ず競争がある。自分の望みを叶えるためには、その競争に打ち勝たなければいけない。学校、あるいは入社試験も含めて、受験はそういう椅子取りゲームのひとつなんだよね。
大学受験であれば、もう大人として、それを前提に考えることができるけれど。中学受験の場合は、小学生の段階で、この受験は社会の中での競争に勝つためのひとつの関門なのだという大人の思考法を、ある程度、身につけることが必要になってくる。
受験で重要なのは、どこに受かるか、落ちるかじゃなくて、チャレンジしてみて失敗したときに、自分をどうやって御していくかということ。負けたときに、自分をどうやって立て直すか、という経験を積むことができる。そういう人は、いろいろ打たれ強い。だから、その最初として、中学受験を経験することは、非常にいいことだと思う」
ぎん太「僕は中学受験の勉強をして、何度も模試を受けていく中で、どういう勉強の仕方が自分に合っているのか、どうすれば成績が伸びるのかが分かりました。実際に開成に入ってみて、いろんな人から、いろんな刺激を受けて、充実した中学生活を送れたので、受験をして本当によかったなと思います」