2022.11.07
# アメリカ

米中間選挙に異変…民主党岩盤支持の「黒人層」に、徐々に広がる共和党シフト

トランプ支持まで現れる地殻変動の意味
安田 佐和子 プロフィール

黒人のみで増える殺人被害者と加害者

しかも、人種別では黒人のみが、被害者数でコロナ前の2019年比9.7%増の8534人、加害者数も同15.5%増の7868人とそろって増加していた。この数字を額面通り受け止めるならば、治安悪化の最大の被害者は黒人であり、同時に黒人の凶悪犯罪も増加したことを意味する。

ピュー・リサーチ・センターが10月10~16日に実施した世論調査でも、米有権者の最大の関心事でトップは「経済」が79%だったが、「凶悪犯罪」も61%と5位に食い込み重要視されていることが分かる。ギャラップが10月3~20日に行った世論調査でも、全米で「前年比で犯罪が増加した」との回答は78%と2020年と並び、1992年以来の高水準だった。

何より、回答者の地元に対しては58%と過去最高を記録。米有権者が、それぞれの生活圏で犯罪が増えたと認識していたことが分かる。人種別では、殺人事件の被害者数と加害者数で2019年比で唯一増加していた黒人が突出して81%と高く、ヒスパニック系の65%、白人の56%を大きく上回っていた。

治安が悪化した理由について、考えてみよう。一因としては、警官を含む治安従事者の減少が挙げられる。2021年には前年比5.2%減の約66万人と、2013年以来の水準に落ち込んでいた。2021年と言えばコロナ禍の真っ只中であり、対面での業務への警戒感から辞職した人々も少なくなかったことは想像に難くない。

 

もう一つの理由として、2020年5月にミネソタ州で発生した白人警官による黒人男性殺害事件と、それに伴う「黒人の命は大切(BLM)」運動の隆盛が考えられる。BLM運動が警官による暴行を糾弾した流れで、「警察予算を削減せよ(defund the police)」との主張が全米で拡大。同時に、警官による職務質問が人種差別と判断されるようになり、取り締まりが困難となった。

その一例は、万引き犯が増加した背景として、過去に2021年6月29日公開の「万引き多発、店舗閉鎖続出で岐路に立つ「バイデンの人権擁護政策」で紹介した通りである。また、警察官など治安従事者がオバマ氏やバイデン氏など、民主党政権で確認されている点も注目されよう。

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