「White Lives Matter(白人の命は大切)」
実際、黒人の間で非常に影響力が多いラッパーのうち、カニエ・ウエストのほか、1980年代に大旋風を巻き起こしたラップ・グループN.W.Aの一角を担ったアイスキューブ、リル・ウェインなど、トランプ支持者は少なからず存在する。
そのうち、純資産20億ドルのカニエ・ウエスト(現Ye)は、度々論争を巻き起こすことで知られる。最近では、 「黒人の命は大切(Black Lives Matter:BLM)」とする人種差別に抗議する運動名のアンチテーゼとして、「白人の命は大切」と書かれたスウェットを着用し、米国をはじめ世界中から大バッシングを浴び、インスタグラムやツイッターはアカウント凍結に踏み切った。

(出所:Candace Owens/Twitter)
お騒がせラッパーとしても知られるカニエ・ウエストについて理解しようとするならば、BLEXITを知る必要がある。BLEXITとは2018年秋頃に生まれ、“Black(黒人)” と“Exit(出口)”から成り立つ。同名の非営利団体の創設者、キャンデイス・オーウェンズ氏の言葉を借りれば「黒人を民主党支配と長年の被害者意識から解放する」ための運動だ。
「アファーマティブ・アクション(差別撤廃を目指したマイノリティ優遇措置)」を始め、黒人には救済策が必要と“洗脳”させた民主党から袂を分かつべきとの主張で知られ、黒人の保守派層の拠り所であり、同運動の支持者の多くはトランプ支持者でもある。