既得権益を温存し衰退する日本…社会学者・宮台真司「愚かな総理を生み出したのは、からっぽの民衆だ」

自信なさげにボソボソ喋るメガネの男、キシダに国を任せていて大丈夫なのか? 世界は、日本の総理に厳しい目を向けている。いったいどうすれば日本は復活できるのか、国内外の7人の「知の巨人」に聞いた。6人目は社会学者・宮台真司氏だ。                             

三島由紀夫と丸山真男の日本人批判

政治家が民衆から選ばれるものである以上、民衆の質が上がらない限り立派な総理大臣は出てきません。誰が総理になっても金太郎飴のように愚かな総理が誕生します。

'70年、自決前の三島由紀夫は「日本はからっぽ」と書きました。日本では一夜にして天皇主義者が民主主義者に豹変する。価値を貫く構えがなく、上と横を見てポジション取りをする。

'50年代から政治学者の丸山眞男も同じことを言っており、近代という物差しから見た「日本人の劣等性」だと見ています。

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日本人は縄文の昔から「和を以て貴しとなす」で、自らを貫徹して闘うことより集団の調和を重んじました。そして江戸時代には移動が禁止され、人々は周りにいる人と一緒に一生を過ごすようになった。

かくて御上に媚びる「ヒラメ」や、周囲を見て浮かないようにする「キョロメ」のメンタリティが強化されました。

世界的に知られた社会心理学者・山岸俊男氏の調査で、「日本人は所属集団でのポジション争いに執念し、すべての集団を包含するプラットフォーム(公)には貢献しない」ことが分かっています。

「公(パブリック)」は自力で市民社会を建設した欧米の概念で、日本には存在しない。ヒラメやキョロメが大切にするのは「公」ではなく、自分自身の安寧です。この「日本人の劣等性」が日本衰退の原因なのです。

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